JR東日本の新型車両、E531系は常磐線の403/415系の置換え用として作られたもので、2005年7月から運用されている。この車両は直流用のE231系近郊形をベースとしているが、常磐線取手以北の交流区間にも対応する交直両用仕様となっている。大きな違いは最高運転速度を130km/hとしたことで、特急用以外の一般車両の130km/h対応はJR東日本では初めてのことである。現在、15両編成(基本編成10両、付属編成5両)の特別快速では、上野-土浦間66kmを55分(表定速度73km/h※)で走っている。そこで、そのスピードを体感すべく上野から取手までを乗ってみた。特別快速は上野、日暮里、松戸、柏、取手の順に停車する。綾瀬あたりから順調にスピードがあがってくるが、江戸川を渡って千葉県にはいると、ぐんとスピードを上げ、各駅間ともその調子で走行する。どこで130km/hに達しているかはよくわからないが、たしかにE231系通勤形の快速電車に比べると速いという感じはつかめる。しかし、おなじ130km/h運転をしている「つくばエクスプレス(TX)」はもっとスムーズでスピード感があった。これはやはりTXの高規格で新しく建設された線路のせいかもしれない。
ともあれ、上野から取手までの約40kmを31分(表定速度は77km/h)で走破した。データから見ると、もっともスピードを上げるのは松戸-柏間(11.2km)で表定速度は84km/hに達する。この区間は快速でも途中駅は停車しないが表定速度は74km/hであり、数字上でもたしかに特別快速は速い。(上の写真は松戸駅上りホームにて) 

※表定速度とは、走行した距離(営業キロ)を所要時間で割って時速換算したもの。途中駅がある場合には停車時間も含む。
(2006.07.29)

特別快速土浦行き 最後部車両 尾灯が前照灯とならんで上部についているのが特徴 (上野駅9番ホーム)


側面の青い帯は403/415系を継承している。


最後部車両の車内。中間部にセミクロスシートを設置している。基本編成(10両)では両端の4両、付属編成(5両)では両端の3両に、セミクロスシートとをもつ。


利根川を渡って取手駅に進入してくる特別快速土浦行き

常磐線は全線電化されているが、取手を境に直流区間と交流区間に分かれている。これは、筑波山の麓にある気象庁地磁気観測所の観測に影響を与えないように、近くを走る電気鉄道はすべて交流電化がされているためである。同じ理由で、2005年8月に開業した「つくばエクスプレス(TX)」も守谷を境に直流区間と交流区間に分かれている。
したがって、常磐線の運用形態は、取手駅を境に以南が直流(1500V)区間、以北が交流(20000V/50Hz)区間となっていて、使われる車両も直流専用車と交直両用車が混在している。そのため、常磐線、とくに上野-取手間を走る車両の種類は他線にくらべて多く、バラエティーに富んでいる。

415系  取手以北は交流区間のため、この交直両用車両が使われる。直流と交流を隔てるデッドセクションは、取手と藤代の間にある。(取手駅)


415系 1500番台下り電車(取手駅)


E231系通勤形 直流仕様のため取手どまりとなって、上野に折り返して行く。


東京メトロの千代田線が取手まで直通しており、緩行線(各駅停車)を受け持っている。
左からJRの直通車203系、東京メトロ6000系、快速線を走るJR E231系快速上野行き (松戸)


通過するE653系 特急「フレッシュひたち」  (取手)


利根川橋梁 快速上野行き電車から


関東鉄道常総線のキハ2100形気動車 (取手)
関東鉄道は茨城県下に常総線(取手-下館間51.1km)と竜ヶ崎線(佐貫(常磐線接続)-竜ヶ崎間4.5km)の2路線をもつ。いずれも非電化で気動車が走る。

鉄道総合ページ:「鉄道少年のなれの果て」