龍飛崎 
青森県津軽半島の最北端にある龍飛崎(たっぴざき)。新青森駅から送迎のマイクロバスにゆられて約1時間半で到達する。晴れた日は津軽海峡をはさんで北海道の地が望めるそうだが、この日は梅雨時の空模様も手伝って、さいはての趣が濃厚である。演歌に歌われるような強風が吹きすさぶ真冬の龍飛が容易に想像できる。

しかし、龍飛にはもうひとつの顔がある。実は昭和39年(1964)に着工して以来24年の歳月をかけて昭和63年(1988)に開業した青函トンネルがこの真下を通っているのである。その工事の本州側の基地がここ龍飛におかれ、津軽海峡の海底を目指して掘り進められたのである。青函トンネルの延長53.85km(海底部は23.30km)は鉄道トンネルとして今のところは世界一であるが、2018年頃には現在建設中のスイスの鉄道トンネル(57.091km)にその座を明け渡すことになっている。

青函トンネルには津軽海峡線が通っており、在来線の列車が往来しているが、2015年度に一部開業予定の北海道新幹線もこのトンネルを通る。そのときには、秋田新幹線の一部区間のように同じ線路を在来線と新幹線が50数キロにわたって走る光景が出現するだろうが、実際には竜飛海底駅か北海道側の吉岡海底駅でしか見られない。因みに青函トンネルと津軽海峡線はJR北海道の管轄で、津軽海峡線とJR東日本の津軽線は新中小国信号所で合流しており、ここが実際の分界点となっている。
(2011.07.23)
 
 津軽海峡を望む。右側対岸は下北半島。
 
 竜飛漁港
海岸に沿ってへばりつくようにいくつも漁港がある。
竜飛の海
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 「青函トンネル本州方基地龍飛」の看板。このあたりは工事の中心地でにぎわったのだろうが、いまは閑散としている。
 
 「青函トンネル記念館」
世界最長の海底トンネルという世界へ誇る大事業の足どりや完成に 導いた人々の最高の技術と情熱を後世に伝えるメモリアル施設(公式ホームページより)
各種展示のほか、トンネル内体験坑道の見学ができる。
 
 トンネル内の軌道は新幹線規格で作られており、在来線との共用のために3本のレールからなる三線式軌道が複線で敷かれているほか、ほぼ全線をつなぎ目のないロングレールとしているという。
 
 記念館駅から体験坑道駅をむすぶケーブルカー。8分で海面下140メートルまでおりる。工事のときの斜坑を利用したもので、現在は通風のための道にもなっている。
このケーブル線は「青函トンネル竜飛斜坑線」というれっきとした私鉄線である。
 
 体験坑道から延びる斜坑。保守用の坑道で、線路には蓄電池機関車が走るという。
 
 元の作業抗。いまは保守用や見学通路となっている。
 
 トンネル完成までの足取りや技術的なテーマがこのようなパネルと音声で説明される。
 
 竜飛海底駅に通ずる入口。
この下のトンネル内にある竜飛海底駅では一部の列車が停車し、下車して体験坑道を見学できるようなツアーがある。参加するにはJR北海道にあらかじめ申し込んで新青森駅、または函館駅から所定の列車に乗る必要がある。
この記念館からの利用はできない。
   
   
 体験坑道見学の証明書
入坑料は1000円。
 このあたりで唯一の宿泊施設
「ホテル竜飛」
 
 
 ホテルのロビーに設置された、面白い趣向。
ホテル直下を走る列車の通過時刻に合わせて、通過する列車の走行音を出したり照明を変化させる。
この時刻表によれば、日に16本の列車が通るらしい。
 
 列車通過時の様子
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列車の進行音とともに天井の照明が変化し、列車が通り過ぎると元の状態に戻る。
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