東横線「元住吉駅」
東急東横線の元住吉駅は、日吉までの東横線複々線工事に伴い、大規模な改良が行われているが、2006年9月25日より一部が使われ始めた。元住吉駅は地平にあり、横浜寄りには元住吉検車区の車両基地が広がっていて、本線はその基地のまんなかを突っ切る形になっていた。このため複々線の線路を増やすことが難しく、結局車庫の上に新たに駅を作ることになった。新駅はプラットホーム2面に6線構造で、ホームのない外側の2線は東横線の急行、特急の通過専用線となっている。その内側2線は東横線で、いちばん内側2線は目黒線用である。今回は目黒線を除く線路が完成したものである。
この駅はホームが2階部分で改札階は3階部分にある。そのため、地上からはまず3階に上がり、改札を通ってホームに下りることになる。地上から3階まで上がるのでかなりの高さがある。エスカレーターは普通より若干高速らしいがそれでも2分くらいかかる。ちょっといらいらする人がいるかもしれない。もちろんエレベーターはある。改札階(コンコース)はかなり広く、ホームから改札口を出ると正面に、屋上庭園と名づけたガラス張りのちょっとした広場があって、植栽や椅子テーブルが置いてあり、脇のコーヒースタンドで買った飲み物を飲んでいる人たちがいた。そして、正面はガラス越しに渋谷方向の線路が見えるようになっていて発着する電車が良く見えるし、あまりきれいではないが武蔵小杉方向の町並みを展望できる。これは非常に珍しい造りでアイディア賞ものである。ホーム側もオープンで、コンコースからホームの様子が見える。3階の上り下りはちょっと億劫だがよくできた駅だと思う。地下駅ばかりが出来る昨今、このような明るい駅は大歓迎である。(2006.09.30)

新しい元住吉駅の目玉、急行線を通過してゆく下り特急列車 5163F編成。 この一連の工事完成により特急列車の渋谷-横浜間は25分とこれまでより2分ほど短縮された。
上り急行線を通過する急行列車 9009F編成

コンコースから下りホームを見る。中央の目黒線線路はまだ敷かれていない。

屋上庭園の様子。ガラス越しに外を展望できる。

屋上庭園からの展望。下り急行列車が通過する。 横浜高速Y513F編成。

上り線路側、武蔵小杉方向を望む。中央部分に目黒線線路が造られる。

3階コンコースのエスカレーター乗り場横から地上を見下ろす。相当な高さがある。

元住吉検車区の車庫は最大で約280両の車両を留置できる大規模な車両基地である。東横線、みなとみらい線、目黒線の車両が所属しているが、このほか相互乗り入れをしている東京メトロ、都営地下鉄、埼玉高速鉄道の車両の検査などを行うこともある。

車両基地の南端には都市計画道「尻手黒川線」が走っていて、東横線をオーバークロスしていたが、東横線が地平から高架線になったために、道路はその下をくぐることになった。左にもとの陸橋(解体工事中)が残る。
武蔵小杉駅

今回の工事は東横線の武蔵小杉-元住吉間の上下線を高架化したもので、武蔵小杉側も大きく変わった。
写真は元住吉方向を見たもので、すでに複々線となっている。両端の2線(左は横浜方面、右側が渋谷方面)が今回完成した東横線の新線路で、内側2線はいままでの線路。旧線路には目黒線の電車が待機しているが、この複線線路は今後も目黒線用と元住吉車庫からの入出庫のために残される。複々線はこの先元住吉までは上が東横線、下が目黒線の2層構造になり、しばらく2層で進んだ後、目黒線は東横線と同レベルになって元住吉駅にはいる。入出庫線は分岐して地平のまま車両基地につながる。→詳細(東急電鉄

発車待機中の目黒線 東急3007F編成。

新しい線路を駆け下りてくる東横線渋谷ゆき電車。

同上 急行渋谷ゆき
目黒線急行運転
現在、目黒線は武蔵小杉終点となっているが、複々線の工事が完成すれば日吉まで延伸される。それに先立って9月25日から目黒線の急行運転が始まった。洗足〜不動前間の地下化によってスピードアップが図られたこともあって、武蔵小杉-目黒間の所要時間は各停より5分短縮される。目黒以遠は各駅停車となる。急行運転は朝夕で1時間に6本程度、日中(10時〜16時)は30分おきとなっている。

都営三田線直通の急行西高島平ゆき。 都営6316編成。このほか東急、東京メトロ、埼玉高速の車両も急行運転に使われる。

目黒行き東急3007F編成。 目黒線急行の登場で、それによって生じる運転間隔の開きを調整するため、それまで日中にはなかった目黒折り返し運転が設定された。 
武蔵小杉から目黒まで急行に乗ってみた。途中停車駅は4駅、通過駅は5駅で、停まらない分たしかに速く感じるが、この距離(9.1km、日吉延伸後は11.9km)で急行運転の必要があるのか。武蔵小山駅での緩急接続も目黒に近すぎてダイヤ編成に苦労するのではないか。武蔵小山の急行停車を巡ってはまたぞろ地域エゴの影がちらついたといわれる。
鉄道総合ページ:「鉄道少年のなれの果て」