蘊蓄・鉄道コラム
E235系を撮ってきた

「そうだ!E235系を撮りに行こう」と思い立ったのは、トラブルのために営業運転を取りやめていた山手線の新型電車「E235系」の運転が再開すると知ったからである。

JR山手線に新型車両のE235系が登場したのは昨年(2015)の春だった。8か月をかけて首都圏を中心とする各線で試運転を続け、11月に営業運転に就いた。ところが、トラブルが頻発して運休となってしまった。そしてトラブルの主因とされる車両制御ソフトウェアの改修を行って今年(2016)3月7日から再び営業運転を開始した。その後は順調に走っているようだが休日は運休するなど限定的な運用らしい。
E235系は山手線では現行のE231系500番台以来13年ぶりの新型車両だが、東京の電車を代表する山手線とあって営業運転開始の模様はかなり大きく報道された。それが初っ端からトラブルを起こしてマスコミの恰好の餌食となってしまった。

それはともかく、遅まきながらE235系を撮りに行こうと思い立ったのだが、課題があった。なにしろ1編成しかない列車をタイミングよくキャッチしなければならない。そのためには列車の運行情報が必要になる。
そこで、列車の運行状況を教えてくれるようなサイトを探すと、やはりあった!さっそく調べてみるとこれがなかなかのスグレモノで、路線別の運行全列車の現在位置までわかるのだ。これがわかれば、いつどこで待ち伏せすればよいかが決められる。撮影場所は駅が一般的だろうが、沿線にも良いスポットがあるかもしれない。駅の場合は、どの駅で撮るかを考えなければならない。山手線では東京駅など以外はほとんどの駅にホームドアが設置された。このため、ホームの先端で狙うのがいいだろう。しかし、先端部が開けている駅は少なく、建物や乗降階段など、なにがしかの障害物があることが多い。したがって、実際に電車に乗って一周し、調べておくことも必要だ。相対式ホームの場合はホームドア越しにはなるが、反対側のホームから撮影することができる。

このようなことを考えながら出かけたのだが、まず出発駅の五反田駅に着いてスマホで運行状況を確認すると、E235が就いている20G運行(内回り)はすでに通ったばかりで、品川付近を走っている模様だった。そこで、外回り電車に乗って迎え撃つことにする。出会う地点は大体新宿と池袋の間だろうと推測して出発した。山手線には昔からよく乗っているので各駅の様子はわかっているつもりだが、ホームの先端部(この場合は外回り方向)が開けていても撮影可能かどうかは定かではないところが多い。因みに目黒駅と恵比寿駅は可能だが、待ち時間が長すぎるので、途中の駅の様子を見ながら、ぎりぎり出会う直前の駅ということで、目白駅まで行ってみることにした。ところが外回り方向のホーム先端部はどこもあまり条件が良くない。ずるずるとそのまま乗っていくうちに目白駅に着いて降りようとすると、なんと反対側ホームにターゲットの電車が滑り込んできたではないか。しまった!と思ったがもう遅い。写真を撮るどころではないので、とりあえず乗ってみようと思い、目の前のドアに駆け込んだ。結構混んでいたので車内の様子はあまりよくわからないが、見回すとたしかに液晶表示装置がやたらと多いのはわかった。乗り心地などはそう変わらないので、ほとんどの人たちは新型電車などと思わずに乗っているのだろう。
このままこの電車に乗っていても写真が撮れないので、高田馬場駅で降りて再度外回りで次に出会う地点に向かう。おそらく次は秋葉原から神田近辺だろう。今度は慎重に運行情報をチェックしながら行くとやはり秋葉原駅が適当らしい。この駅の1・2番ホームの神田側は開けていることは知っているが、乗っている電車が着くのは隣の3番ホームである。連絡階段で移動し1・2番ホームの神田側の先端部にいくと上野・東京ラインの線路も望める。
カメラをセットして待つこと5分、いよいよお目当ての電車がやってきた。


秋葉原駅にて 2016.03.22
進入する20G運行。 正面の1枚ガラスは反射が強くて写り込みが激しい。対向ホームのホームドアや乗客らしい男性の姿が写り込んでいる。 
翌日、運用表を調べるとE235は内回り50G運用だ。この日は恵比寿駅で待つことにした。渋谷寄りのホーム先端から狙う。遠くが見渡せるし、ほどよくカーブしているので全身が撮れるだろうが、外回り線の電車とすれ違うと被ってしまう恐れがある。

恵比寿駅にて 2016.03.23
渋谷方向から進入してくる50G運行。被らなかったが右隅に湘南新宿ラインの列車が写り込んでしまった。
JR東日本では、今後2020年までに山手線の52編成すべてを新型のE235系に置き換える計画という。そうなると、現行のE231系500番台の行く末がどうなるかなどと、また鉄道マニアの心配事が増える。すでに中央総武緩行線に転属した編成もあるというので、これからも首都圏の鉄道事情はどんどん変わっていくのだろう。
(2016.03.26)

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