なぜ鉄道か

世界中どの国にも鉄道好きはいるらしい。それも年齢を問わず、広く分布している。ところが、日本に限られるのかどうか、鉄道好きは男がほとんどで、女性の鉄道マニアというのはあまり見聞きしない。その理由はよくわからないので今後の研究テーマとしたい。
しかし一方で、鉄道で働く若い女性が増えていて、JRや私鉄で運転士や車掌として活躍している人をよく目にするようになった。なかには、男性でも難関である新幹線500系の運転士をめざす女性もいるという。頼もしい限りだ。こういう人たちは本当に鉄道が好きなんだろう。心なしか、いずれも美人揃いでカッコよく見えるのは気のせいだろうか。

なぜ鉄道が好きか?と尋ねられても即答に困るのが常である。なにしろ、幼少のときからのことで覚えはないし、物心ついたときはもう電車の絵ばかり描いていたのだから。どうも「三つ子のたましい百まで」を地で行きそうな按配である。とにかく、「鉄道!」と聞くと、「ん?!」と反射的にそっちに顔を向けるくらい好きなのだ。

そもそも乗りものには独特の魅力がある。それは生き物のように走るからだ。それに、電車も自動車も飛行機も船もそれぞれ個性があって表情がある。人間の分身みたいなものだ。よく蒸気機関車は人間味があるというが、電車だって、電関(電気機関車のこと)だって人間味に溢れている。自動車も飛行機も同じである。人間の作ったものだから当然である。

おなじ乗り物の自動車や飛行機なども好きだが、それでも、なんたって鉄道である。
最近、なぜ鉄道か、を考えてみたら、答えらしきものがでた。それは、鉄道やその車両というものは個人で所有できないからである。自動車は個人で持てるし、飛行機も自家用ジェット機など、条件が許せば不可能ではない。
鉄道の魅力は、線路上を大勢の人を乗せて生き物のように生き生きと走ることにある。なにか、すごく頼もしい。地べたを走るので身近である。乗って車窓からは、山あり、川あり、海あり、町ありで飽きない。
飛行機は飛んでいるところは身近に見られない。空港で離着陸するのをちょっと見るだけである。乗っても窓の外は単調そのものである。
自動車は走っているのを見ても面白くない。運転してこそ面白い。自分のクルマだからなにも写真など撮らなくても毎日接していられる。家族の一員だ。
船は遅いのであまり好きではない。

・・・というのが、とりあえずの結論です。(2004.03.01)