新駅の名称

山手線で30番目の新駅の名称が決まった。その名も「高輪ゲートウェイ」だと。
鉄道ファンとして正直なところ、怒っている。ちかごろ流行りのチンケな駅名が山手線にまでやってきた。つまり「ゲートウェイ」は余計である。公募による結果1位高輪、2位芝浦、3位芝浜などで、高輪ゲートウェイは130位だったそうだ。JRとしては1位「高輪」は順当としてもなにか新駅建設のコンセプトを表わすことばを付け加えたいと考えたのだろう。「この地は江戸の玄関口として栄え、明治期には国内初の鉄道が走ったエリア。過去と未来、日本と世界をつなぐ結束点としてふさわしい名だと考えた」と説明しているという。
そもそもこの新駅の地区は東京駅や品川駅を始発駅とする東海道線の列車基地だったが、東海道新幹線の開業による長距離寝台列車などの廃止や、車両基地の地方分散などで留置しておく車両は大幅に減り続けていた。JR東日本はこの広大な基地を整理し跡地を再開発しているのだが、その狙いというのが羽田空港からのアクセスの良さを生かした国際交流拠点づくりを目指し、新駅をその中核設備とするというのだ。すなわち、羽田空港という玄関と直結するゲートウェイとしての役割を担おうというのだ。たしかに現在は羽田空港に到着すると、旅客たちは電車やバス、モノレールですぐに各地に散らばってしまう。それをひとまずここに集め、改めて都内や各地へアクセスする拠点とする。つまり人の流れが集まれば商機が増え、経済効果が上がるということなのだ。そのために商業施設や飲食施設のほかホテルなども建てられるのだろう。そして、ひと儲けもふた儲けもしようという魂胆なのだ。
ただ、今現在はJR東日本としては羽田空港に直結する路線は浜松町駅からのモノレールはあるものの品川地区からは直結する鉄道路線はない。そこで以前から話題になっている空港ビルに直結する鉄道線構想を実現化するのかもしれない。それまで当面は京急線に頼るか、バス路線を開設するしかない。
このようなゲートウェイエリアの建設は理解できるし、エリア名としての高輪ゲートウェイは容認するが、山手線の駅名としてはしっくりこない。「高輪」だけで十分である。東京都区内のJR線でもカタカナ混じり駅はない。ましてや歴史ある山手線にカタカナ混じりの駅名は非常に違和感がある。言語道断である。
地元では「高輪」派が圧倒的に多く、結果を見て本当にガッカリしているようだ。
それでも「高輪」が実質採用されたということなので、喜び半分ということか。
因みに2位の芝浦は新駅のある地名である。3位の芝浜というのは田町駅と浜松町駅の中間あたりの鉄道線路が走っている付近らしいが、江戸時代には浜辺になっていて俗に芝浜と呼ばれていたといわれる。今はその浜辺を舞台にした落語の噺の題名として知られているが、一部の落語好きにはわかっても、大部分の人たちにはなんのことやらわからず、およそ鉄道駅にふさわしいとは思えない。少なくとも芝浜が外れたことはよかったのではないか。
(2018.12.05)