オープンシステムの台頭
ダウンサイジング

ダウンサイズとは

文字通りサイズを小さくするということで、とくに当時のメインフレームのシステムを、より小型のコンピュータで置き換えることを意味した。
企業のメインフレームによる業務システムは業務の増加によってますます大きくなって行くが、基本的には集中処理のためコンピュータにかかる負荷は増大の一途をたどるようになる。メーカーはそれに応じて超大型コンピュータなどハードウェアを増強して対処した。システムそのものも複雑となって開発の工数は膨らみ、開発しきれないシステム(バックログ)が増加してゆく。つまり、大きくなりすぎて動きがとれなくなってしまっていた。

ダウンサイジングの推進
このようなときに出現したオープンシステムはこの問題を解決するものとして注目された。オープンシステムのベンダーは「ダウンサイジング」と称して小型化することによるメリットをアピールした。小型化といっても意味するところは分散化で、システムを機能別に複数の小型コンピュータに分散し、それをネットワークでつないでひとつのシステムにすることである。すでにハードウェアやソフトウェア、ネットワークは実績があり、コストも大幅に下げられることを強調した。このような動きのなかで、メインフレーム・ユーザーのなかには、高額なシステム価格と維持運用費や、メーカーの専横への嫌気、などからオープンシステム導入に積極的な企業もあって、ダウンサイジングへの関心は大いに高まった。

オープンシステムの浸透
しかし、初期につきものの問題はあった。
・大規模なバッチ処理には向かない
・ハードウェアの信頼性がいまいち
・ビジネスアプリケーション開発用のツール不足
・マルチベンダーによるシステム構築と保守の難しさ
・ユーザー企業の情報部門におけるオープンシステムへの反感と不勉強

その後、これらの問題は、
・大規模バッチ処理はメインフレームに残すなど共存路線
・サーバー技術の進歩でメインフレーム並みの処理能力と信頼性を確保
・DB、ミドルウェアの発達でシステムとしての信頼性も実現
・開発ツールやパッケージソフトの充実
・SI(System Integration)ビジネスの定着
のように改善されてオープンシステムは浸透していった。

現在、より安価なPCサーバーとWindowsによるシステム構築も本格的になってUNIXシステムのシェアは低下しつつある。
メインフレームも新規のシステムは減少しているが、OSや通信などは旧来のものから改良さているうえ、バッチ処理や大規模システムなどでは需要があり、これからも存続するものと思われる。