もうひとつの流れ
1970年代にはメインフレームのほかにミニコンという小型で安価なコンピュータの流れがあった。多くのメーカーが参入してメインフレームに相対する市場を形成していた。大手のメーカーとしてはDEC(Digital
Equipment)、HP(Hewlett-Packard)、DG(Data General)などがあって、それぞれ独自のコンピュータを製造販売していた。おもな用途は研究、開発分野で研究機関や大学などがユーザーとなっていた。その後、エンジニアリング分野に進出して設計や高度な技術計算、生産機械の制御などに使われるようになり大手の製造業に多くのユーザーがあった。処理能力も大きくなり、メインフレームなみの処理速度をもつものまであらわれた。システムはマルチユーザー対応のOSが搭載されていて、設計などのエンジニアは端末を使ってミニコンにアクセスし、データを出し入れして設計の作業を行っていた。グラフィック機能はミニコンから制御する方式だった。
ワークステーションの出現
1980年代の前半にサン(Sunmicrosystems)社がエンジニアが個人で専有して使えるEWS(Engineering
Work Station)を開発した。これは高速のCPUとディスクストレージ、大型のモニタをもち、GUIを装備し、TCP/IPによるLAN環境で稼動するように設計されていた。OSとしては既存のUNIXを採用した。これが爆発的にヒットし、一足先にワークステーションを造っていたアポロ社(HPが買収)など他社も加わって1980年代後半にはEWSブームとなった。EWSの特徴はコンピュータを単独で使うのではなく、ネットワークで結んでコンピュータ間での情報を相互に利用することに重点をおいていることである。とくにサン社はこれを"The
Network is The Computer"のスローガンのもとにコンピュータ・ネットワークを戦略として推し進めた。
ワークステーションからサーバーへ
その後サーバー機能をもつものも開発されて、当初エンジニアリング分野で使われていたものがビジネスアプリケーション用にも使用されるようになった。サーバーはコンピュータ・ネットワークの中核として位置づけられ、オープンシステムを推進するハードウェアメーカーの主力製品となる。
ISVの成長
一方、このような環境で利用できるソフトウェア製品(データベース、システム管理、オンライン処理など)もISV(Independent
Software Vendor)によって続々製品化されて、オープンシステムと銘打った新しいコンピュータ・ビジネスの環境が整った。
オープンシステムの特徴
オープンシステムはハードウェア、通信、ソフトウェアの規格が業界標準として公開されたものを使っているために、規格に合いさえすれば誰でも参入できる。これによって競争が促され、切磋琢磨の結果優秀な技術や製品が安価に提供できるようになる。
一方で、ベンダー、メーカーの分業が進むためにシステムとして組み合わせる場合には、導入時やシステム稼動後の保守にはまとめ役が必要とされるようになった。
オープンシステムの担い手
オープンシステムを推進し、担ってきたのはほとんどが米国におけるベンチャー企業である。スタンフォード大学やマサチュセッツ工科大学などの卒業生が先進テクノロジーをベースに起業し、当初はいわゆるガレージカンパニーとして創業し、先進的な技術と独創性、すぐれたマーケティングによって成功するといったパターンが多い。
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