201系電車は国鉄時代の1979年に登場した。国鉄としては初めて電動機制御にチョッパ制御を採用し、電力回生ブレーキを装備して、省エネ電車のさきがけとなった。主として中央快速線に投入され、のちに黄色に塗装されて中央・総武緩行線にも登場した。関西に行くと青色塗装で東海道・山陽緩行線を走っていた。この青色塗装は、ほんのひととき京浜東北線を走っていたことがある。
しかし、201系といえばなんといってもオレンジ色塗装の中央線である。この車両にはこのオレンジ色がもっとも合うように思う。先頭車両の正面窓まわりを黒く塗ってアクセントをつけた顔立ちはかっこよかった。国鉄時代の中央線は新性能電車第一弾の101系を皮切りに、最新型の電車が最初に走る路線だった。もちろん最新鋭の201系も中央線に配備された。オレンジ色の塗装は101系から始まったが、それまでのチョコレート色一色の国電のなかにあってひときわ目立った。これに気を良くしたのか、国鉄は101系以降、東京近郊の通勤電車の車体を路線別に色分けするようになった。ラインカラーの始まりである。中央線のオレンジのほか、山手線の緑色(当初は黄色だった)、京浜東北線の青色、中央・総武緩行線の黄色、常磐線のエメラルドグリーン、といった具合である。これによって電車のイメージがずいぶんと明るくなったことは間違いない。
101系、103系、201系までは全鋼製で全塗装だったが、やがて登場した205系ステンレス車体になると、塗装はせず正面にプラスティックの板を貼ったり、側面にカラーテープを貼ることでそれぞれのラインカラーを表わすようになった。その後、209系、E231系と新型ステンレス製電車が登場し、中央・総武緩行線にはこれらの電車が走るようになった。しかし、中央快速線にオレンジ色のカラーテープを貼った電車は来なかった。その間ずっと201系が走り続けたのである。周りがどんどんステンレス電車になってゆくなかで、全身オレンジ色の201系は古つわものとして、かえって風格と存在感を増していった。そして登場以来27年経って唐突に201系引退のときが来た。JR東日本の誇る最新鋭E233系が後継として投入されたのである。その交代は急速で、1年間でほとんどの201系が姿を消した。だが、そこには古豪の潔よさのようなものを感じる。
E233系はステンレスボディーに中央線カラーのオレンジラインをまとって颯爽と登場した。ところが、なんとなく印象が薄いのである。101系以来長い間に定着した「中央線=オレンジ色の電車」というイメージが強いからだろうか。ともあれ、オレンジ色の201系はとうとう懐かしの電車の仲間入りをしてしまった。(2008.04.08) |
|