大相撲の倦怠感


2014年大相撲秋場所を前にして稽古総見が始まった。先場所(名古屋)は、またしても白鳳の優勝に終わった。30回目の優勝という偉業を成し遂げたわけで、それはそれで称讃すべきことだが、もうマンネリになっているような千秋楽の図式はなにか面白くない。原因は日本人力士の低迷だ。

日本人力士の優勝は2006年初場所の大関栃東以来、実に8年間も途絶えている。この間はすべて外国人力士に持って行かれているのだ。ただ、ほとんどが朝青竜と白鳳のモンゴル勢2力士によるもので、このふたりが飛びぬけて強いということになる。

それにしても何とかならぬか、というのが本音なのだが、それでも先場所はそれなりに日本人力士も気を吐いた。
カド番大関の琴奨菊は体中に張っていた膏薬もとれ、久々に重量級の突進を見せて、次点の12勝を挙げた。
さらに、連続14場所も関脇の座でぐずついていた豪栄道もやっと本来の気迫を見せて同じく12勝を挙げ、大関昇進を決めた。人気の遠藤は、覚えられたのかなかなか勝てなかったが千秋楽で勝ち越しを決めた。ほかにも平幕の高安が優勝争いの一角を占めるなど、かなり荒れる場所となったのは日本人力士復活の兆しなのか。

白鳳は全勝とはならなかったが、これを阻んだのは豪栄道と稀勢の里だ。その稀勢の里だが、これほど期待を裏切る男もいない。場所中場内の声援が一番大きいのは遠藤だが、つぎに大きいのが稀勢の里だ。モンゴル勢に独占された横綱の地位に一番近いのは稀勢の里だからだ。これまでチャンスは何度かあった。そのたびに日本中が期待したが、ことごとく期待を裏切ってきた。白鳳を止められる第一人者とも思えるのだが、その一方で序盤で平幕相手に取りこぼすくせが治っていない。相撲解説の北の富士さんなどは、稀勢の里のこうした所業について、まったくわからん、と匙を投げた格好だ。これまで万年大関はたくさんいた。このまま期待を裏切り続けて万年大関で終わるのか。期待するほうが間違っているのか。ほんとにわからん!

多くの人たちはいつか日本人横綱が出るだろうと期待していまの状況を我慢しているのだ。新大関の豪栄道を先頭に高安も遠藤もがんばってほしい!荒れる場所は大歓迎だ。(2014.09.05)