スカイマークの誤算


スカイマーク航空が窮地に陥っている。さきごろ報道された、超大型旅客機購入をめぐってメーカー側から引導を渡された件に続いて、成田空港から撤退するという事態となったのだ。

一言でいうと業績不振がその理由である。

そもそもの始まりは1機300億円もするエアバス社のA380を6機購入する契約をして、そのうちの2機がすでに完成間近といういまになって、代金支払い延期や残る4機のキャンセルを申し出たことにある。
それに対して、エアバス社側はすべての契約を解除したうえ、違約金700億円を請求すると通告してきたという。

A380を6機購入、と聞いたときには一瞬耳を疑った。それもJALやANAであればB747の後継か、と納得がいくかもしれない。スカイマークは国際線進出をもくろんでの発注だったそうだ。
しかし、国内第3位のエアラインといっても上位2社と比べて経営規模が格段に小さく、国際線は未経験というハンディもある。いきなり世界最大の旅客機を6機というのはあまりにも突飛な発想ではないか。

発注した2010年当時は業績が上り調子で利益も増大傾向にあったが、2013年になって燃料の高騰やLCCの台頭などの競争激化で業績は急落し始めた。そのうえ円安によって契約時より支払金額が膨らんだことも想定外だったという。
タイミングは悪かったといえるが、それ以前に戦略や見通しの甘さが透けて見える。会見で、社長はそれを認めた。

これで国際線進出の夢は泡と消え、国内線も成田空港撤退という苦渋の選択となった。重大な経営判断ミスの結果だ。
このことによる社会的な信頼度は大きく低下するだろう。また、今後の経営立て直しに伴う社内のモラルの低下も心配だ。
とくに安全対策の面での質的低下はこの業界では許されない。

聞くところによれば、ワンマン社長のワンマン経営だそうだが、この事態の責任をどうとるのか利用者としても注視して行く必要があるだろう。
(2014.09.06)