そのときどうするか
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街を歩いていると目の前で思いがけないことに遭遇することがある。 そのときどうするか。 |
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スーパーでの買い物を終わって、駅のそばの踏切りで電車の通過を待っていたときのこと。
電車が通過して遮断機が上がると同時に自転車のおばさんが猛ダッシュで発進した。そのとたんに、自転車の後ろのかごからネギが一束ストン!と落ちた。踏切のなかである。ぞろぞろ渡る人のだれもそれを拾おうとしない。もちろん今は踏み切番などいない。
このままにしておくわけにはいかない。とっさに拾って、おばさんの後を追ったが、パワーアシスト付きの自転車はどんどん離れてゆく。追い付かなかったらどうしよう、と思いながらそれでも追いかけていたが自転車は速く、左の道に曲がってしまった。こっちもその道に入っていくとおばさんはようやくネギがないことに気が付いたのか、スピードを落として停まった。そこへネギをふりかざしたおじさんが疾走してきて無事ネギは手渡されたのである。
考えてみれば、踏切のそばには交番があって追い付かなければ、そこに預ければいいのだが、そのときはそんなことは頭に浮かびもしなかった。とっさの行動だったのだろう。しかし傍目にはネギを振りかざしたおじさんが必死に走っている図はおかしかっただろう。だれかスマホで動画撮影でもしていてYouTubeあたりに投稿したらヒットしたかもしれない。
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歩道を歩いていると、前から幼児を乗せたベビーカーを押した若い母親がやって来た。それを見て悪い予感がした。その母親は案の定スマホに夢中で視線は画面にくぎ付けだ。そのうち、歩道が途切れているところに差し掛かる。そこには段差がある。
やっぱり!ベビーカーは前輪が縁石にひっかかってつんのめってしまった。子供はさかさになった。当然子供は火のついたように泣きだし母親はやっとスマホから目を離した。私はとっさにかけよってベビーカーが転倒しないように支えてやった。そばにいた年配の女性も同時に子供のからだを支えた。母親は恐縮の態だったが、またスマホを見ながら行ってしまった。
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電車と駅のプラットホームには隙間がある。カーブしていれば危険なほど空くことがある。そのときは直線で普通の隙間だった。ドアが開いてホームから乗ろうとしたベビーカーの前輪が隙間に落ちた。押しているおばさんは焦ってぐいぐい押すが当然進めない。そばにいた私はすぐに前輪を持ち上げてやった。電車は比較的空いていたので何の問題もなかったが、電車の乗り降りにはホームとの隙間に十分気を付けることだ。
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駅の乗り換えエスカレーターを下っていたときのこと。
例によってみんなエスカレーターの左側に立って右側が空いていた。するとその右側を突然何かが転げ落ちてきて、横を通り過ぎようとした。びっくりして見ると私立校の制服を着てランドセルを背負った小学生の女の子だ。どうやら空いている右側を駆け下りてきて途中でころんだようだ。
「おい!大丈夫かい?」と思わず手を出して止めようとした。その子は私の前の2段下に立っていたおねえさんのところで止まった。おねえさんもびっくりして抱き起してやったが、その子はさすがに泣き出した。
エスカレーターの下で、おねえさんがハンカチを出して顔のあたりを拭いてやっていたが、別にケガをしたようには見えなかった。とりあえず改札の事務所に連れていった。
おじさんよりも若いお姉さんにお任せしたほうがいいと思ってその場を離れたので、そのあとはわからない。
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いずれの場合も軽微なアクシデントなので、とっさに思わず身体が動いたが、もっと重大な事故だったら身がすくんで動けないかもしれない。ましてや自分に危害が及ぶような場合はただ逃げるしか方法はないのだろう。
(2015.03.29) |
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