昭和のひとコマ〜電気の検針員今昔 |
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「よりぬきサザエさん」No.3から | |
上の「サザエさん」のマンガを見て意味が分かる世代は50%もいるだろうか。「サザエさん」は昭和の身近な歴史的資料の宝庫だ。この4コマを見て懐かしさを覚えると同時に現在との対比をするとおもしろい。 どこの家にも電気のメーター(積算電力計)は必ずついている。毎月定期的に検針員がやってきて、メーターの数字をチェックして電気料金を決定するのだ。 むかしはこの検針員はその風体ですぐにわかった。それはゲタをはいて懐中電灯を持っていたからだ。(4コマ目) 我が家もそうだったが、むかしはメーターが室内に設置されていた家があって、検針員はすぐに家にあがれるようにゲタを履き、室内の暗いところにあるメーターを照らすために懐中電灯が必須だったのである。メーターをチェックすると手書きの電気使用量のメモを渡して帰って行く。 このような人が家々にあがりこんでメーターをチェックしていたのだが、腰手ぬぐいのおじさんが結構ズカズカあがってくるのを家人はあたりまえと思っていた。後年、さすがにメーターは外壁に設置されるようになってゲタバキの検針員のすがたは見られなくなった。 今は検針も近代化されて、それとわかる制服を着た人がチェックにやって来て、家の壁にあるメーターを読み取り、その場で使用量と料金を印刷した「電気使用量のお知らせ」という紙を郵便受けに放り込んでゆく。だいたいいつ来たかわからないことが多いがきわめて効率的である。 ときどき検針員がチェックしている現場を見かけることがあるが、いろいろと苦労があるように見える。最近は狭隘な土地の敷地いっぱいに家を建てることが多く、隣家との間は人が横向きにやっと通れるくらいの隙間しかない場合がある。そのような家ではどうかすると、メーターがその隙間の側の壁に取り付けられていることがある。このような場合には検針員はメーターの直下にあって、メーターの数字を読み取ることは困難である。どうするかというと小さい鏡をかざして映った数字を読み取るのだ。鏡には伸縮式の柄がついていてそれを伸ばすのである。鏡を見ながら数字を書き留めるのだが、文字通りの鏡文字なので慣れないうちは大変だろう。また、メーターに近づけない場合もある。そのために小型の双眼鏡を携行している。いろんな便利グッズを駆使して仕事をしているのだ。 ガスや水道も同じようなことがあるのだろうが、このディジタル時代にアナログメーターを目視でチェックするのはサザエさん時代と変わりないが、その場で端末に打ち込んで各家庭ごとの使用量や料金だけでなく、料金明細や前年同月の使用量なども即時に印刷してしまうというハイテクとのギャップがおもしろい。(2013.09.26) |
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