富士急行・リニア見学センター・溶岩洞穴・富士山
2016.08.25
山梨県のJR大月駅では富士急行が河口湖方面に路線を延ばしている。その富士急行の電車に乗ってジイさん3人が河口湖周辺の散策としゃれこんだ。大月から河口湖に行ってそこから西湖周遊バスに乗り、富士山麓の大自然に浸ってみようという計画だ。当然、富士山のお膝元でもあり、雪のない夏の富士山もお目当てだ。


リニア見学センター
大月から電車に乗る前に、バスで15分ほどのところにある、山梨県立「リニア見学センター」に立ち寄った。ここでは、リニア新幹線関連の資料館と実験線を試験走行する車両を見ることができる。また、最近では一般向けの体験試乗も行われていて、乗降場が併設されている。ただし、事前申し込みのうえ抽選となるそうだ。見学ラウンジから走行する車両の写真を撮るのはかなり難しいと考えたので、動画で撮ることにした。目の前を通り過ぎるのはそれこそ一瞬だったが、ラウンジのガラスが風圧でたわむのを感じた。あとで動画データを調べたら、車両全体がある1点を通過する時間は1.5秒前後であった。試験車両は7両編成ということだが、全長177.5m(先頭車28m×2、中間車24.3m×5)として計算すると、速度は426km/h(1.5秒として)くらいか。たしかに500km/hにしてはちょっと遅いように感じる。
動画
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リニアモーターとは、円筒状のモーターを直線状に広げて回転運動の代わりに直線運動をするようにしたものである。車両上の電磁石と地上の推進コイルの間に発生する磁気の反発力と吸引力よって推進する。同時に磁気によって車体を浮上させる。
軌道は両側の壁に推進コイルを並べ、その間を超電導磁石を搭載した車両が走る。左の写真の白いパネル状のコイルが全線にわたって設置される。浮上式なのでレールはなくコンクリートの道床となっている。低速時や停止時には引き込み式の車輪が出て車体を支える。
リニア中央新幹線は2027年の完成を目指して工事が始まったが、日本最大の山岳地帯をトンネルでぶち抜いて、いったい自然環境にどのような影響があるのか十分に究明されてはいないだろう。JR東海という私企業が自費で建設するという点でも不安がある。国は経済効果一辺倒で、完成を前倒ししろ、などとバカなことを言っているが、まずは自然破壊防止のための監督を厳しく行うべきである。破壊された後では遅いのだ。そんなことを考えて、結局「こんなもの必要なのか?」と3人のジイさんたちは悪態をつきながらセンターをあとにしたのだった。
富士急行
富士急行は1926年に設立された富士山麓電気鉄道が前身で、1960年に現在の社名に改称した。大月駅-富士山駅間23.6kmの大月線と、富士山駅-河口湖駅間3.0kmの河口湖線の2路線を運営している。ほとんどの列車は大月駅から河口湖駅までを直通運転しているが、接続駅の富士山駅ではスイッチバックする。列車種別は普通列車、快速「富士登山電車」のほかに富士急ご自慢の特急列車「フジサン特急」と「富士山ビュー特急」が運行されている。まさに、ふじさん尽くしだ。
富士急行は標高800mの高地を目指して登るため、33~40‰の勾配区間があるが、そのような急坂の多い路線を持つ私鉄6社で形成する「全国登山鉄道‰(パーミル)会」の会員となっている。
ほかの鉄道会社は、南海電鉄高野線、神戸電鉄、叡山電鉄、大井川鉄道、箱根登山鉄道の各社である。
JR大月駅
山小屋と神社の混合?
富士急行に乗り入れるJR中央線からの直通列車もある。
富士急大月駅
こちらは神社風。鳥居がご神体である富士山への入口を表しているのだろう。

「フジサン特急」8000系電車 
元小田急ロマンスカー20000形RSE車で、2014年7月から運用を開始した。(禾生駅)

1200形普通列車 
元京王電鉄5000系で、1993年以来9編成18両が在籍し、富士急の主力車となっていたが、老朽化などで2011年から2013年にかけて4編成8両が廃車となっている。画像右側の客車は国鉄・JR時代に寝台特急ブルートレイン「富士」(東京駅-大分駅)として活躍した14系客車で、最後部車スハネフ14 20号車。「富士」のヘッドマークをつけている。”富士”に因んで置いてあるのだろう。
(下吉田駅)

「富士山ビュー特急」8500系 
元JR東海371系で、2016年4月から運用開始した。JR時代には御殿場線から小田急線に乗り入れて特急「あさぎり」として、上記の小田急RSE車とともに富士山麓を走っていた。富士急はよくよく富士山にこだわって両車両を導入したものとみえる。(下吉田駅)

富士山駅
昔は富士吉田駅だったが、2011年に富士山駅に改称した。いくら富士山にこだわるといっても、いきなり駅名を「富士山」としたのには仰天した。関連記事

快速「富士登山電車」1200形 
元京王5000系で、2009年から運行している。外装は水戸岡鋭治氏のデザインだそうだが、いかにもそれらしい。(河口湖駅)

6000系通勤用電車
元JR東日本205系で、2012年に導入。4編成12両が在籍する。車体には「FUJIKYU COMMUTER TRAIN」やら「FCT」などのロゴがしつこいほど書かれている。これも水戸岡流か?
(河口湖駅)

京王5000系塗装の1000形
京王電鉄において運用開始50年となることを記念して2012年に元の塗装に戻したという。車両番号も元々の番号を忠実に復元したというから念が入っている。(河口湖駅)

河口湖駅構内にはかなり大規模な電留線群がある。すでにこの日の運用を終えた特急車両が休んでいる。

河口湖駅前にある「モ1号電車」
1929年(昭和4年)富士山麓鉄道の開業にあたって最初に造られた電車。富士山に向かって走るため、電気ブレーキや砂まき装置など、当時最新鋭の急勾配対策を施しているという。
富岳風穴・西湖蝙蝠穴
富士山麓は一面の樹海におおわれている。有名なのがこの青木ヶ原樹海。
そして、ところどころに溶岩流によってできた洞穴が数多くある。
西湖周遊バスに乗って、そのうちの2か所を巡った。



「富岳風穴」-国指定天然記念物
公開されているのは総延長210m、最大高さ8.7mの横穴で、なかは平均3度という気温で、さすがに寒い。

階段を下ると入口だが、ここは天井が低いので頭上注意。

万年氷が残る。
毎年冬季にはおびただしい氷柱や氷の壁ができるが、初夏前には融けてしまうそうだ。

「西湖こうもり穴」-国指定天然記念物
富士山麓溶岩洞穴中最大の規模という。洞穴内の気温が一定であるため、かつては多数のコウモリが生息していたという。その後周辺開発による環境変化や人間の立ち入りなどで一時絶滅状態となったが、洞穴奥にコウモリ保護区域を設けるに及んで少しずつ増えているという。

この先いくつもの支洞があり、中には高さ1m以下の場所も多数あって、しゃがみ歩きを強いられるので、閉所恐怖症の身には向いていない。入口でヘルメットを強制的に渡しているのは大正解だ。実際に何回も頭をぶつけた。
富士山が出た!

西湖周遊バスが河口湖町に戻ってくると、それまで雲がかかっていた上空が急に晴れ渡って富士山が姿を現した。中腹に雲をまとい、てっぺんから噴煙を吐いているかのようなオシャレな姿に、バスのなかでは歓声が上がって大喜びだ。たまたま左最前席に座っていたので、バスが富士山の正面に向く瞬間を狙ってシャッターを切った。ところが、しばらくするとバスは左折したため、右席からの眺めになってしまって全く絵にならない。ほんのわずかのシャッターチャンスだったのだ。

レンズの焦点距離を2倍にしたカット。よく見ると信号機の付け根に、さりげなく富士山のエンブレムが・・・

しかしその後、中腹の雲がどんどん上がってきて20分後にはこのとおり雲間に隠れた(河口湖駅から)
鉄道総合サイト:「鉄道少年のなれの果て」
関連サイト:「急坂の鉄路」