近鉄で行く 伊勢・鳥羽・志摩めぐり    2011.11.13〜15
三重県東部の志摩半島に広がる伊勢志摩国立公園は昭和21年に戦後初の国立公園として指定された。リアス式海岸をもつ日本有数の海の国立公園である。含まれる市町は、伊勢市・鳥羽市・志摩市・南伊勢町だが、伊勢市には伊勢神宮があることから年間訪問者はゆうに1000万人を超える一大観光地である。
そのなかで、鉄道、バス、ホテルなどのサービスを支えるのが近畿日本鉄道である。近鉄は京阪神や名古屋から伊勢志摩地域へのアクセスについては昔からとくに力をいれてきた。多くの特急列車を投入し、速達性とサービスレベルを充実することで競合する国鉄をJRになった今でも圧倒している。鉄道だけでなくバス路線についても地元の三重交通を傘下に収めるほか、ホテル経営、スペイン村のようなテーマパーク、鳥羽湾や英虞湾内の遊覧観光船の運営などサービス産業のほとんどを一手に担っている。
伊勢志摩を効率よく巡る助けとなるのが近鉄が販売している「まわりゃんせ」というフリーきっぷだ。これは松阪駅−賢島駅間をフリー区間とし、その間の近鉄線電車(近鉄特急を含む)と指定の路線バスは乗り放題のほか、遊覧船乗船、水族館などの施設・テーマパーク入場が無料や割引となる、という。なによりもいちいちきっぷや入場券を買うという手間が省けるし、使い方次第ではかなりお得なきっぷなのである。実際に使ってみると水戸黄門の印籠よろしく提示するとどこでもスイスイ通れるすぐれものである。ただしスペイン村では追い銭が必要。このきっぷは4日間有効で9500円である。
 
東京から新幹線で名古屋に行き、近鉄名古屋駅から「まわりゃんせ」の旅が始まる。
まずは12200系特急宇治山田行きに乗って伊勢神宮を目指す。

途中の長島付近でJR関西本線の313系電車と並走し、追い抜く。

中川短絡線の分岐点を撮ろうとシャッターを切った途端に対向列車がかぶった。残念!
右奥の線路は付け替え工事中の新短絡線。
 
 
伊勢市駅は伊勢神宮外宮への最寄駅。JR東海との共同使用駅で神宮へはJR側出口から向かう。
この間、伊勢神宮参拝
内宮を参拝し、バスで五十鈴川駅へ。

上り普通列車伊勢中川行き 1230系 五十鈴川駅

賢島行き特急入線 22600系
鳥羽
鳥羽駅
山田線と鳥羽線の接続駅。JR東海参宮線の終点でもある。

鳥羽国際ホテルから鳥羽港を望む
鳥羽湾遊覧
遊覧船を追ってくるカモメの大群。このように餌付けをしている。
鳥羽水族館

 
(動画)
イロワケイルカ
     パンダイルカともいわれる

鳥羽水族館の横を駆け抜ける12200系特急列車

賢島行き「伊勢志摩ライナー」23000系入線  鳥羽駅
志摩スペイン村
スペイン村へは鵜方駅からバスで向かう。
三重サンベルトゾーン構想に基づいて近鉄が開発し、1994年に開園したリゾート施設で、スペインをテーマとした「パルケ・エスパーニャ」のほかホテル、天然温泉施設からなる。開発の趣旨は、伊勢神宮や御木本真珠といった旧来の観光資源への依存しすぎによる観光客数の伸び悩みを打開するためとされる。
なぜスペインか、についてはいろいろ理由をこじつけているものの、結局説得力のある説はなくてよくわからないが、なんとも大がかりなものを造ったものだと感心する。晩秋の平日だったが、閑散としていた。
賢島
早朝の英虞湾を望む。
「志摩観光ホテル・クラシック」の客室から。

真珠養殖のイカダが浮かぶ
賢島エスパーニャクルーズへの出立。
本来は賢島港まで歩くところをホテルの裏にある私設桟橋から連絡船に乗船することができる。宿泊者への特典らしい。
途中の真珠島で本船のエスペランサ号に乗り換える。ここでは真珠の核入れ作業を見学できる。
賢島駅
志摩線の終点

賢島駅は4面5線の大規模なホームをもつ。
待機する1230系普通中川行きと30000系特急京都/難波行き(大和八木駅で分割する)

特急伊勢志摩ライナー 21000系
二見が浦

二見が浦へはJR参宮線で向かう。JR伊勢市駅に入線するキハ11系。
キハ11でカブリツキ!五十鈴丘駅到着。やはり単線非電化というのは近鉄に大きく見劣りする。
二見浦(ふたみのうら)駅
駅舎は夫婦岩をイメージしている
駅から海岸へ向かう通り。
雰囲気のある古い町のたたずまいだが、ほとんどひとけがない。
海沿いの松林の中にたつ旅館。営業していないようだが、このような旅館がずっと並んでいる。
二見が浦といえば伊勢を代表する見どころだが、近年はさびれる一方という。地元タクシーの運ちゃんによれば、近鉄による開発を断ってJR(国鉄)の顔を立てた結果だという。

夫婦岩 日の出の遥拝所として知られる。二つの岩に張られた大注連縄は「結界の縄」といわれ、向こう側の神域と手前の俗世を隔てているという。注連縄は年に3回神事として張り替えられる。
松阪
松阪駅
近鉄山田線、JR紀勢本線・名松線が乗り入れる。JRと近鉄の共同使用駅。

松阪駅から徒歩10分ほどの松阪城跡公園
高い強固な石垣が目をひく
御城番屋敷
(ごじょうばんやしき)
紀州藩士20人が松阪御城番職に就いた際、藩士と家族の住居として1863年(文久3年)に新築された2棟の組屋敷(長屋)。ほぼ当時のまま住居として使用され、維持管理されてきた貴重な建築物で重要文化財に指定されている。19戸のうち12戸が借家として貸し出され、実際に市民が住んでいる。

関連ページ:伊勢神宮鉄道少年のなれの果て