宿鳳山高円寺

宿鳳山高円寺(しゅくほうざんこうえんじ)は、弘治元年(1555)中野成願寺三世建室宗正によって開山された曹洞宗の寺院である。本尊は観音菩薩像で、ほかに室町期の作といわれる阿弥陀如来坐像も安置されている。かつて、この地は周辺に桃の木が多くあったことから桃園といわれ、本尊は桃園観音、寺は桃堂とよばれていた。
当寺が広く知られるようになったのは第五世耕岳益道の時、三代将軍徳川家光の知遇を得たことによる。家光が鷹狩の折にたびたび当寺に立ち寄り、休息した茶室の跡に由来して本堂裏の高台が御殿跡と呼ばれている。それまでの小沢村を高円寺村と改称させたのも家光といわれている。
当寺は今日まで寛保2年(1742)、弘化4年(1847)、明治33年、昭和20年と4度も罹災し、堂舎とともに古記録類の多くを消失した。現在の本堂は昭和28年に建立された。(説明板:杉並区教育委員会)

高円寺は小学生の頃に習い事でよく来た駅で、その後ほとんど下りたことはなかった。その当時、中央線は地平を走っていて、複線の線路が地図で見るとおり一直線にずっと伸びていた。いまとちがって空気も澄んでいて視界をさえぎるものがなく、本当にまっすぐの線路が見通せたのをよく憶えている。
高円寺という駅名や地名から当然お寺はあるだろうとは思っていたが、地図で調べたらやはりあった。実際には駅から5分ほどのところに住宅地に囲まれたようなかたちで存在していた。環状7号線の近くにしては静かなところである。正面入り口を始め山門、境内はよく手入れされており、非常に気持ちが良い。世間に名だたるお寺ではないが、高円寺駅や周辺の街が栄えているのはお寺の功徳だろう。
(2005.02.21)


高円寺駅

山門

本堂


高円寺駅南口

快速線ホーム

阿佐ヶ谷方向を望む。いまでも直線の感じはつかめる。
電車は東西線直通西船橋行き、E231系


山門

「宿鳳山」の扁額

山門裏側

山門正面


本堂
昭和28年に再建された


徳川家ゆかりのお寺らしく屋根の装飾に葵の御紋がつけられている


境内の大いちょう

本堂正面



華麗な彫刻が施されている