ベートーヴェン(1770~1828)
「エグモント」序曲
 作品84

「エグモント」序曲はゲーテの書いた同名の悲劇にベートーヴェンが付随音楽をつけ、その一部として1809年から翌年にかけて作曲されました。エグモントとは16世紀のオランダに実在した軍人で、当時オランダを支配していたスペインの圧政に抵抗し、最後に捕らえられて断頭台の露と消えた事実をもとに、ゲーテが悲劇として書いたものです。ベートーヴェンはどうもこのような、圧政から民衆を解放する英雄的な人物が好きらしく、彼の唯一のオペラである「フィデリオ」も同様の題材をもとにしています。また、第三交響曲「英雄(エロイカ)」は、もともと英雄としてのナポレオンに献呈するつもりであったのが、ナポレオンが皇帝に即位したことを聞いて落胆し、怒りのあまり総譜(スコア)の表紙からナポレオンの名を消してひきちぎり、床にたたき付けた、という逸話は有名です。
当時のヨーロッパは18世紀の旧体制が衰退し、19世紀にはいって新しい時代への大変革の時代で、政治、産業、芸術の世界で多くの偉人が現れました。まさに英雄の時代であったわけです。ベートーヴェンも音楽の世界で数々の変革をなし、自身が英雄としての働きをしたといえます。

「エグモント」序曲の楽器編成は、ピッコロ、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)、フレンチ・ホルン、トランペット、ティンパニーに弦楽五部というオーソドックスな編成となっています。

「エグモント」序曲  8’16”
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