|
 |
|
|
ベートーヴェン(1770~1828) 序曲「レオノーレ第3番」 作品72a
歌劇「フィデリオ」序曲 作品72b
|
|
|
ベートーヴェンは唯一のオペラ「フィデリオ」に4曲の序曲を書きました。なぜこんなにたくさん書いたのか?簡単に言うと出来上がったオペラの楽曲を、いろいろないきさつから何度か添削したり書き換えたりした結果、序曲も作り変えたからです。このオペラは同じ台本をフランス、イタリア、ドイツの作曲家が音楽にしたということで、ベートーヴェンは3人目の作曲者だったとされています。題名は「レオノール、別名、夫婦愛」(フランス)、「エレオノーラ、別名、夫婦愛」(イタリア)、「レオノーレ、別名、夫婦愛」(ドイツ)という具合に同じですが、のちにベートーヴェンは混同を避けるために「フィデリオ、別名、夫婦愛」に変えたとされています。
歌劇のあらすじは、政敵のために不当に投獄された夫を救うため、女主人公レオノーレが男装してフィデリオと名乗り、生命の危険もかえりみず、ついに地下牢から夫フロレスタンを救い出すというものです。内容的には、ベートーヴェン好みの、悪と闘う正義漢の話ですが、それよりも、題名になっているようにテーマとしている「夫婦愛」というものがベートーヴェンの作曲意欲をそそったのだろうといわれています。
4つの序曲とは、「レオノーレ第1」(初演前に廃棄)、「レオノーレ第2」(1805年初演用)、「レオノーレ第3」(1806年再初演用)および「フィデリオ序曲」(1814年最終版)ですが、このうち傑作と言われるのが「レオノーレ第3」で、「フィデリオ序曲」は「第3」が序曲としては規模が大きすぎて聴衆に重苦しい感じを与えはしまいか、とのベートーヴェンの懸念から新たに作られたといわれています。このようにベートーヴェンは唯一のオペラに対して並々ならぬ愛着があったことがうかがえます。
ほかの2曲のうち、第1番はベートーヴェンの生前には演奏されたことがなく、死後に最後の作品として刊行(作品番号138)されたということです。また、第2番も現在ではあまり演奏されることはないようです。
楽器編成:
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット(バスーン)2、フレンチ・ホルン4、トランペット2、トロンボーン3、ティンパニー、弦楽五部
|
|
|
|