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ベートーヴェン(1770~1828)
交響曲第2番ニ長調 作品36 |
ベートーヴェンが耳の病におかされていたことはよく知られる通りです。それは1796年ころから始まり、その後悪化して1801年ころには回復は絶望的になったと言われています。新進気鋭の音楽家として日の出の勢いにあったベートーヴェンは、当然のことながらこの過酷な運命に苦悩し、1802年の有名なハイリゲンシュタットの遺書に至ることになります。交響曲第2番はこのような時期に作られました。ところが、その内容は明るくのびやかで、深刻な境遇の影響は感じられないのです。研究者によると、ベートーヴェンはかなり熱烈な恋愛をしていて、それが苦悩を和らげ、希望の光を投げかけたのではないか、としています。にもかかわらず最終的にベートーヴェンは失恋します。これがハイリゲンシュタットの遺書を書く直接のきっかけになったといわれます。しかしその後、ベートーヴェンは猛然と運命との闘争を始めます。第3交響曲「エロイカ(英雄)」に始まる、それ以降の傑作の数々はこの時期に経験した苦しみをもとに作られていったのです。そういう意味で第2交響曲はそれこそ、つかの間の幸せなときに生まれた奇跡的な音楽であるのかもしれません。
曲は4楽章から成り、全体として軽快な曲調となっています。第3楽章にはスケルツォを置くという新機軸が見られ、その後の交響曲形式の基礎となりました。
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楽器編成:
フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット(バスーン)2、フレンチ・ホルン2、トランペット2、ティンパニーに弦楽五部。
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