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ベートーヴェン(1770~1828)
交響曲第4番変ロ長調 作品60 |
1802年、かのハイリゲンシュタットの遺書を書き、苦悩から猛然と立ち上がったベートーヴェンはその証しとして、第三交響曲エロイカを1804年に完成させて見事に復活を成し遂げました。そしてその後において続々と傑作を生み出してゆきます。よく言われる「傑作の森」の時代にはいって行くのです。ベートーヴェンの有名な作品のほとんどはおよそ10年のあいだのこの時期に作られています。
第四交響曲は1806年に書かれたものですが、第三と第五というきわめてメッセージ性の強い、いわば聴いていて疲れる作品のあいだに挟まれたせいか、なんとなくホッとできる作風をもっています。同じ偶数番号の第六「田園」、第八もそうですが、このように一曲おきに、硬-軟、動-静のコントラストをはっきりつける作り方はベートーヴェンの交響曲をおいてほかにはありません。意図的なのか偶然なのかわかりませんが、おそらくは、緊張感と解放感という繰り返しが自然にこのような形になったのでは、と個人的には考えていますが。。。
偶数番号交響曲は、いずれも明るくのびのびとした作風で、楽しんで作曲しているようにも見えます。といっても決して手を抜いているわけではなく、ベートーヴェンが目指した交響曲形式の改革の流れに沿った名曲たちに違いはありません。
この第四は全9曲の交響曲のなかでも特徴がつかみにくく、言い換えれば最もオーソドックスな作りになっていると考えられます。つまり、ベートーヴェンが作った唯一の標準的な交響曲で、それが特徴とも言えるわけで、その意味では特異な存在かもしれません。しかし音楽はきわめて軽快・闊達で楽しさに満ちあふれています。
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楽器編成:
フルート1、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット(バスーン)2、フレンチ・ホルン2、トランペット2、ティンパニー、弦楽五部。
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