ベートーヴェン(1770~1828)
交響曲第8番ヘ長調 作品93
この曲はベートーヴェンの九つの交響曲の後期作品のなかでは小規模で、とくに大規模な7番イ長調と9番ニ短調(いわゆる第九)の間にはさまれて、性格的にも特異な存在となっています。ベートーヴェン自身はこの曲が気に入っていたらしく、第9番が「俗っぽい」という当時の批評に対して、「俗っぽいから聴衆に受けるので、丁寧に作った8番は人気がない」と弟子にもらした、という逸話が残っています。たしかに一般的には第8番は演奏される機会は少ないと思われますが、前後の2曲の重さに比べると、軽妙という印象があります。しかしベートーヴェンが自負するだけあって、円熟した技法で無駄のないしっかりした構成で書かれており、しかも、いかにも楽しんで作曲したかのような雰囲気が感じられます。
曲は4楽章から成っていますが、特徴的なのは第2楽章は通常のゆっくりしたテンポではなく、速いテンポのスケルツォ風とし、さらに第3楽章は古典的なメヌエット形式になっていることです。ベートーヴェンは第2交響曲以降、それまでの通例であった第3楽章にメヌエット(ゆったりとした3拍子の舞曲)を置くことをやめて、スケルツォ(テンポが速くメリハリの利いた活発な感じの楽曲、諧謔曲ともいう)を置いていたわけですが、この第8番では両方を使っているというきわめて特異な形となっています。また、終曲での終わり方は、7番、9番はかなりあっけなく終わるのに対して、この第8番ではあの有名な第5交響曲のような重々しい終わり方をしています。軽妙ではあるが最後はしっかり締める、というベートーヴェンの計算が読み取れます。
楽器編成は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット(バスーン)、フレンチ・ホルン、トランペット、ティンパニーに弦楽五部というごくオーソドックスな編成となっています。
第1楽章 Allegro vivace con brio
9’15”
第2楽章 Allegretto scherzand
3’31”
第3楽章 Tempo di Menuetto
5’54”
第4楽章 Allegro vivace
7’14”
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