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ノクターン/バラード |
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ピアノ独奏曲としてのノクターンは夜想曲ともいわれ、ピアノ練習曲で知られるクレメンティの弟子のジョン・フィールドというピアニスト兼作曲家によって創始された名称とされています。自由な発想によって作られた短い楽曲のことですが、ノクターンと言えばすぐにショパンの名が出るくらいに多くのノクターンを作っています。全21曲のうち生前に出版された19曲が「ノクターン集」としてまとめられています。 バラードは、本来自由な形式の叙事詩であり、中世の伝説などを題材とした物語詩のことで、ドイツのゲーテ、シラー、ハイネ、フランスのユーゴー、デュマなどが作品を残しています。音楽上のバラードは、詩としてのバラードに曲をつけた独唱曲や合唱曲という形をさすようになり、シューマン、ブラームス、ヴォルフなどに作品があります。そして、器楽曲のバラードを初めて作曲したのがショパンで、4曲のバラードを作っていますが、ポーランドのアダム・ミッケヴィッツという詩人の詩を読んでバラードの創作を思いついたとされています。しかし、曲はその詩の内容を描写したものではなく、あくまでも詩を読んでの印象や情緒を音楽に表わしたものになっています。 |
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■ノクターン第2番変ホ長調 作品9-2 1830~1831年 もっとも有名な曲で、一般にショパンのノクターンといえばこの曲をさすことが多いようです。親しみやすく、覚えやすい甘美なメロディーが万人受けするのでしょう。 |
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■ノクターン第8番変ニ長調 作品27-2 1835年 この曲も第2番とともによく知られています。印象的なメロディーの主題が繰り返される間には、ショパンが「どうだ!」と言わんばかりの複雑で技巧的な装飾音符で満たされています。 |
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■ノクターン第9番ロ長調 作品32-1 1836~1837年 穏やかで楽しげな雰囲気をもった曲ですが、途中でしばしばフェルマータによってフレーズを中断したり、終結部では短調に転調し、急に劇的な変化をみせて曲を締めくくるという意表を突いた効果を出しています。 |
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■バラード第1番ト短調 作品23 1831~1835年 ミッケヴィッツの「コンラード・ヴァーレンロッド」というバラードに基づいたものと言われています。曲はソナタ形式の変形で、序奏・第1主題・第2主題の提示部に続く展開部では第2主題が重点的に扱われています。ショパンはこの第2主題になにかの思いを込めたのかもしれません。さらに再現部のあとに長大かつ劇的な雰囲気の結尾(コーダ)を置いており、原作のバラードにおいて主人公が処刑されるという悲劇的な結末をイメージしたものとも考えられますが。。。 |
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