東急大井町線 溝の口延伸 2009.07.11 |
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東急大井町線は二子玉川駅から溝の口駅までの2.0kmが延伸し、同区間は田園都市線とあわせて複々線となった。これにより、1993年の二子玉川駅改良に始まり、旗の台駅改造と急行運転のための一連の改良など、16年の歳月をかけて続けられてきた大井町線の改良工事はやっと完成をみた。
この複々線は方向別で、外側を田園都市線、内側を大井町線が走るが、途中駅の二子新地駅と高津駅では大井町線は通過線となっていてホームはない。しかし大井町線各駅停車の一部の列車が田園都市線の線路に転線し、両駅に停車するダイヤが組まれている。そこで、誤乗防止のために各駅の電光掲示板の列車種別で”各停”表示を色分けし、二子新地と高津に停車する/しないを表示している。また、車両のほうも前面と側面の種別表示を同じ色分けするなどの工夫をしている。色分けは両駅通過を緑色(G各停)、両駅停車を青色(B各停)としている。とは言え、一般の利用者に周知徹底するのは難しいかもしれない。高津、二子新地の利用者はこれまで通り田園都市線を使えばいいが、たまに利用する乗客は当初混乱することは考えられる。駅や車内放送で注意を呼び掛ける以外ないだろう。
この複々線化の狙いは言うまでもなく、田園都市線の混雑緩和である。渋谷方面への人の流れを大井町線に分散しようとするもので、東横線と目黒線のような関係である。この場合は目黒から直通する地下鉄の利便性がうけて目黒線にまわる通勤者が増えたため、東横線の混雑緩和に効果があったという。田園都市線も渋谷からの地下鉄半蔵門線直通があるためきわめて利便性が高い。そのため沿線人口増加とともに混雑はうなぎ上りにひどくなり、混雑度はここ3年続けて私鉄のワースト2となるくらいのすさまじさである。このようなことから、大井町線の始発駅が2kmばかり遡ったところでどれくらい大井町線に移ってくれるか、といえば大したことはないだろう。田園都市線の沿線人口はまだ増え続けるといわれている。さらに二子玉川駅周辺の再開発事業で大規模なマンションなどが建設中である。これなどは輸送の現状を無視した無計画な事業と言わざるをえない。しかも東急電鉄が主導しているとはなにを考えているのか理解に苦しむ。抜本的な混雑緩和策は東急電鉄だけでは無理で、接続するJR東日本の横浜線・南武線や横浜市営地下鉄なども含めて考える必要があるだろう。
いずれにしてもこの複々線化は鉄道ファンの立場からは興味があるものの、実質的な効果なりメリットは未知数であり、今後の動静を見守るしかない。
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緑色の各停は二子新地・高津には停車しない(G各停) 尾山台駅 |
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青色の各停は二子新地・高津に停車する(B各停) 溝の口駅 |
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大井町行き急行 6102編成 二子新地駅
かなりの速度で通過するため騒音が激しい。 |
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溝の口行きB各停がホームに進入する 8692編成 二子新地駅 |
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停車中の大井町行きB各停 8087編成 高津駅
この列車は上の写真と同一編成で、溝の口駅でG各停からB各停になって折り返してきたもの。 |
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”祝溝の口延伸”ヘッドマーク 8089編成 溝の口駅 |
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急行列車の並び ヘッドマークは”東急お台場パス” 溝の口駅 |
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溝の口駅にある折り返し線
この先で複線となりトンネルをくぐって梶ヶ谷駅に至る。梶ヶ谷駅構内には大井町線用の電留線がある。 |
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はじっこを行く田園都市線 |
今回の複々線化によって、もともと溝の口まで行っていた大井町線が昔の姿にもどったわけだが、昔の草深い溝の口周辺の面影はなにも残っていない。今やこの区間は中線を高速で駆け抜ける大井町線の電車が主役となり、外線を行く田園都市線電車は端に追いやられた感がある。
田園都市線の列車はほとんどが半蔵門線に直通し、さらに東武伊勢崎線・日光線に相互乗り入れしている。はじっこに追いやられたといっても東急、メトロ、東武3社の電車が行き交うにぎやかな路線なのである。 |
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鉄道総合ページ:「鉄道少年のなれの果て」 |
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