中学生の時分から落語を聞き始めて半世紀。落語への愛着はいまでもまったく色褪せません。しかし、これだけ息の長い付き合いをしているあいだには、名人たちがぞくぞくとあの世に行ってしまいました。こちらもそのうち・・・てな歳になって、なにかまとめておこうと思い立ちました。

落語は面白い、これはもともとが笑い話からきているので当然ですが、筋の面白さもさることながら、噺(はなし)のなかの会話そのものが面白いのです。外国にも小話があって、フランス小話やロシア小話などがよく知られています。フランスはしゃれた感じでちょっとエッチだし、ロシアは痛烈な皮肉で思わずニヤリとさせられます。落語の場合はこのニヤリという、ちょっと暗い笑いよりも抱腹絶倒の明るい笑いが身上です。江戸の昔からずっと演じられてきて今に伝わる多くの噺はクラシック音楽の名曲に通ずるものがあります。

しかしこのところ、落語のほうはってぇと、どうも先行きが怪しくなってきたような気がします。こんな心配もあるので、落語のことを思いつくまま書きなぐってみることにした次第です。気の向いたときに書くので遅筆ではありますが、少しずつ増やしていくことにします。(2005.05.29)


落語の真髄は下の絵にみごとに表わされています。平成13年10月に63歳で亡くなった古今亭志ん朝が、天国で親父の志ん生と兄の馬生にめぐりあって挨拶したらこうなるだろうという場面です。志ん生に傾倒する山藤章二さんならではの、これも落語です。



週刊朝日「山藤章二のブラック・アングル」から