白川郷    2012.10.29~30
 岐阜県にある白川郷は日本の昔ながらの景観と家並みを残しているとして、ユネスコの世界文化遺産に登録されている。正式には「白川郷・五箇山の合掌造り集落」とされ、荻町集落がその対象となっている。近年、全国的に古い町並みを保存しようという動きが盛んだが、そのような典型としての山里の白川郷の晩秋を訪れた。

 白川郷が世界文化遺産に登録されたのは平成7年(1995)のことだが、それ以前に地元の人たちの合掌造りの家並みを保存しようとする努力があって、昭和51年(1976)に伝統的建築物保存地区に指定された。現在合掌造りの建築物は160棟あるといわれる。それらのなかには実際に生活の場として使われている家屋も多く、昔ながらの生活様式も含めて保存されているのが特徴といえる。
合掌造りは大きな急傾斜の茅葺き屋根が特徴だが、この急傾斜は雪下ろし作業を少なくすることや、雨水の水はけをよくするためという。また急傾斜の屋根が両側から「人」の字形に寄り掛かった構造はトラスを形成しており、多くの梁材を使わないシンプルな屋根となっている。そのため屋根裏には大きなスペースができるが、多くは蚕部屋として養蚕に使われていたという。
茅葺き屋根は30年から40年ごとに葺き替えられ、集落の住民の共同作業で行われるのも大きな特色である。
白川郷荻町集落は庄川の谷あいの東西約1km、南北約1.5kmに広がる農村地帯で、北部に山城の荻町城跡があって集落を一望できる展望台となっている。

 集落の目抜き通りの両側には土産物店や飲食店が軒を並べる。その裏に合掌造りの家屋が立ち並ぶ。
文化遺産保存ということで特筆すべきは電柱電線がないことだ。これで昔の景観を保っている。

 合掌造りの家屋は東西に屋根面を向け、屋根に太陽光をあてて乾かすように配置されている。また妻面には必ず窓をあけ、風通しをよくしている。どの家屋も同じ向きに建てられているのがわかる。

 合掌造りの家屋は江戸時代中期から明治時代までに建てられたものという。
さすがに、いま風の建物も混じるが。。。

ひつじ田と古屋敷 
「ひつじ田」とは、ひつじ(稲のひこばえ)の生えた田んぼ、稲刈りの後の株からまた稲の生えた田んぼのことで、ひつじは穭または稲孫とも書かれる。秋の季語。

案山子らの今年の仕事は終わったのだろうか

冬を間近に控えて茅葺き屋根の葺き替えが急ピッチ。
合掌造りの家は1階は大工だが屋根は村人の共同作業によって造られる。茅の厚さは30~50cmという。

 明治年間に建てられた「長瀬家」は2001年に村人やボランティアなど総勢500人で屋根の吹き替えが行われ、その様子がTVで放映されて話題となった。10年たってすでに苔むしてきている。
 明善寺(みょうぜんじ)
延享5年(1748)創建の浄土真宗の古刹。この茅葺き寄棟造りの鐘楼門のほか、本堂(うしろの建物)と庫裡(下)も合掌造りという白川郷ならではの寺。

 集落の朝 古ぼけた街灯がさびしげに立つ

 庄川べりに建つ集落で唯一の温泉宿「白川郷の湯」。古い外壁を残すが、内部は改装されて磨き上げられた檜材の床など清潔でしっかりとした構造。天然温泉の男女別大浴場、露天風呂、サウナを備える。