松陰神社の不思議な鏡
東京世田谷区にある松陰神社。神社の由来記によると、
幕末の思想家・教育者でもあった吉田松陰を祭神「吉田寅次郎藤原矩方命」(よしだとらじろうふじわらののりかたのみこと)とする。松陰は安政の大獄に連座したとして江戸伝馬町の獄中で刑死したが、その4年後の文久3年(1863)に門下生であった高杉晋作や伊藤博文らによって、当時長州藩主毛利大膳大夫の所領であったこの地に改葬された。その後明治15年(1882)に松下村塾の門下生らが墓所のかたわらに社を築いて松陰の御霊を祀る神社を創建した。

この地区は世田谷区役所をはじめとする区の行政機関が集まっているところだが、多くの為政者を輩出した松陰にあやかってこの地に定めたのかどうかはわからない。これまで区役所などにはときどき来てはいたが、松陰神社に立ち寄ったことはなかったので、初めて参拝してきた。

鳥居から正面に本殿がある造りは普通の神社と変わらないが、本殿内陣の正面に祀られている丸い鏡が妙に目につくのに気が付いた。鏡なのでなにかが映るのはあたりまえだが、それにしても不思議な映り方をするのである。丸い鏡の中を人やクルマが通ったりするので、そのあたりを見まわしても木立があるだけである。拝礼するために正面に立つとちゃんと自分の姿が映っている。しかし、離れて見るとまたいろいろなものが映っている。いったいどこが映っているのだろうとカメラで鏡をズームアップして見たところ、それは遠く離れた神社の入口の鳥居の外とわかった。本殿と鳥居の距離は200メートルくらいあるが、鳥居の下にたたずむ人たちの姿がはっきりと映っているのである。実に不思議な現象である。神社本殿に鏡が祀られているのは、神様がこちらを眺める窓としての役割があるという説がある。ならば、鏡に映る世の中を見ながら松陰先生はいまの時代をどう思っているだろう。
(2012.06.08)

 松陰神社入り口正面に本殿が建つ。その中心部分に白く光る鏡がここからすでに認識できる。

 本殿正面の鏡に何かがが映っているのが見える。

 すこし近寄ってみる。

 鏡をズームアップしてみると人々が映っている。平面鏡ではこのように映ることはないので、凹面鏡を使っているらしい。しかも相当に高性能な鏡だ。

 振り返って鳥居を見ると鏡に映っている人たちが。。。