蘊蓄・鉄道コラム
京都鉄道博物館

京都に新しく鉄道博物館ができた。京都駅にほど近い梅小路蒸気機関車庫という、旧国鉄時代からの遺跡?がある。その施設にはいわゆる扇形の機関庫と転車台が残されていて、蒸気機関車の動態保存をしていることで有名なことは知っていたが、これまで一度も行ったことがなかった。その機関庫に隣接してJR西日本が新たに鉄道博物館を2016年に開業したのだ。夏休みにはいると混むのでその前にと思い、こともあろうに連日38度越えの京都に出かけたのである。

鉄道博物館は規模の大小を問わず、大体が機関車や電車などの実物を展示しているが、多くは静態保存で、動く状態になっていることは極めて少ない。動態保存となると日常的に手入れをしなければならないため、簡単には対応できないからである。
梅小路蒸気機関庫の扇形車庫は1914年(大正3年)に建設され、梅小路機関区の車両基地として機能していた。1960年代にはいると国鉄の路線においても電化や非煙化が推進され、蒸気機関車の引退が進んだ。そのようななか、1968年に国鉄では、これまで1世紀にわたって日本の鉄道輸送を支えてきた蒸気機関車が急速に姿を消していくことに対し、貴重な産業文化財という位置づけの上で、動態保存を目的とした日本初の施設を設置することを決定した。これを受けて1972年10月10日に国鉄により日本の鉄道開業100周年を記念して、ここ梅小路機関区の扇型庫を活用した「梅小路蒸気機関車館」が開設されたのである。その後1987年の国鉄分割民営化によりJR西日本に継承されたが、新たな鉄道博物館開設の計画のもと、2015年に梅小路蒸気機関車館はいったん閉館し、拡張・リニューアルを行ったうえで、2016年4月29日に「京都鉄道博物館」として開業した。この施設には2014年に閉館した大阪の「交通科学博物館」の収納物の一部も引き継がれているという。また、構内施設は車両基地(梅小路運転区)としての機能を保持しており、蒸気機関車のほか嵯峨野観光鉄道で使用するDE10形ディーゼル機関車が所属し、検査・修繕なども行われている。
博物館全体の保存・展示車両数は53両で、そのうち蒸気機関車は23両(動態保存8両・静態保存15両)となっている。
本館では車両展示のほか、車両の仕組み、鉄道の施設、鉄道のあゆみ、生活と鉄道、運行の仕組み、鉄道ジオラマなどいろいろなテーマで展示が行われている。蒸気機関車庫に続く展示運転線では動態保存の蒸気機関車牽引による観光列車の運行がされている。
(2018.08.15)

正面入り口 京都駅からのアクセスは京都市営バスで約10分。

左から、旅客用蒸気機関車C62形26号機、日本最初の長距離用電車80系、新幹線最初の車両0系電車

本館 車両の展示場

左から、新幹線500系電車(JR西日本が開発)、寝台特急用581系電車、489系特急形電車

高速特急形電車の先駆けとなった151系電車 特急「こだま」として東京-大阪間を6時間でむすんだ。

特急形気動車キハ81系 紀州方面の特急「くろしお」

国鉄の新性能通勤電車の第1号である101系電車 1957年(昭和32年)に中央線快速、1960年には大阪環状線に導入された。

トワイライトエクスプレスを牽引したEF81形電気機関車103号機 

EF58形電気機関車150号機 EF58は直流電気機関車として多くの特急列車を牽引した花形機関車。

梅小路蒸気機関車庫 転車台を要に扇形に並ぶ車庫に20台の蒸気機関車が保存されている。転車台での方向転換などの実演も行われるようだが、このときはなかった。

左から、C59形164号機、C53形45号機、C51形239号機で、いずれも旅客列車牽引用蒸気機関車

左は、お召し列車牽引用C58形1号機、右の2両は貨物列車牽引用のD50形140号機、D52形468号機

左は、7100形7105号機「義経号」明治13年製、右は、旅客列車牽引用のC61形2号機
「義経号」に対して「弁慶号」(7101号機)があり、大宮の鉄道博物館に保存されている。

8620形8630号機(左)、1070形1080号機
8620形はハチロクとも呼ばれ、大正時代の標準型として日本で初めて本格的に量産された国産旅客列車牽引用テンダー式蒸気機関車。1914年(大正3年)から1929年(昭和4年)までに672両が製造された。
1070形は明治後期に英国から輸入された6200形を改造したもので、総数49両が全国の鉄道局管内の支線における小運転や入れ替え用に配置された。

B20形10号機 第2次大戦末期から終戦直後にかけて製造された入れ換え作業用の小型機関車。国鉄でこれほど小さな機関車は明治以来といわれる。たしかに前面のプレートの大きさが不釣り合いだ。

C57形1号機による「SLスチーム号」列車 延長500mの展示運転線を往復運転する。

C57形1号機 かつてJR山口線で観光列車「山口号」を牽引して新山口-津和野間を運行していた。

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DE10形ディーゼル機関車1156号車 展示用ではないが梅小路運転区所属として、入れ換えや嵯峨野観光鉄道の観光列車牽引に使われている。
鉄道総合サイト:「鉄道少年のなれの果て」