しんかんせん
「しんかんせん」。取りも直さず「新幹線」のことである。
この新幹線という語は、1964年10月1日に開業した東海道新幹線を始め、現在9路線ある日本の高速鉄道の総称である。もともと、従来の幹線鉄道に対する「新しい幹線鉄道」という意味の「新幹線鉄道」の略称とされる。
この略称が普及・定着して一般に固有名詞として用いられているのである。「新幹線」という名称は本州JR3社名義にて、複数の分野で商標登録されているという。
したがって、新幹線といえば、日本固有の高速鉄道のことであって、外国の高速鉄道などにこの語が使われるのはおかしいのである。
ところが、「高速鉄道イコール新幹線」という刷り込みが強すぎるのか、マスコミなどの報道や記事で外国における高速鉄道にも「新幹線」を勝手に使う例が多く散見される。また、一般にもこのような「新幹線」の乱用?がまかり通っている。要するに高速鉄道の代名詞として使っているのである。しかもおそらくは無意識のうちに、である。
これが、鉄道マニアにとっては気にいらない。
各国の高速鉄道にもそれぞれ固有の名称なり呼称がついている。それを安易に新幹線などと呼ぶのは非礼でもあるだろう。
一方で、日本政府は新幹線の海外輸出に力を入れているが、これは路線・軌道設備、信号・保安システム、電源方式、車両技術、列車防護などについて「新幹線方式による高速鉄道」と言う意味である。
だから、受注に成功して建設された場合には、このような高速鉄道を「〇国版新幹線」と呼ぶことはあるだろう。
因みに台湾の高速鉄道である「台湾高鐵」には日本が輸出したJR東海・JR西日本の700系車両の改良型である700T型が走っていて、見た目には日本の新幹線とほとんど同じに見え、現地では「台湾新幹線」とも呼んでいるらしい。しかし、この鉄道はドイツ・フランスの欧州勢が線路や運行システムを作り、車両関連を日本が担当した形になっているので完全な新幹線方式ではない。
今現在、フルセットでの新幹線方式を輸出した例はなく、商談はいくつかあるものの成功に至っていない。今後、「○○国の新幹線」と言えるような高速鉄道が走るようになる日が来ればよいのだが。。。
(2022.01.29)