金沢・特急街道    2012.10.31
 金沢駅 

 大屋根のある正面広場。右はバスターミナル。
 JR金沢駅は大阪・京都・名古屋と北陸・新潟方面を結ぶ北陸本線の中核となる駅である。ここを通って各方面に向かう特急列車の本数はきわめて多く、北陸本線が特急街道と言われる所以である。

  金沢駅を発着する特急列車の平日1日当たり本数と運転区間
 
 特急名  富山方面 福井方面  運転区間 
 サンダーバード   15  29  大阪~金沢・富山・和倉温泉・魚津
 しらさぎ  8  19  名古屋・米原~金沢・富山・和倉温泉
 はくたか  15  1  福井・和倉温泉・金沢~越後湯沢
 北越  5  -  金沢~新潟
 トワイライトエクスプレス  1  1  大阪~札幌
 日本海 1 1  大阪~青森(臨時運行)
 おはようエクスプレス  1 -  福井→富山 泊→金沢
 おやすみエクスプレス -  1  金沢→福井
 特急合計 46 52  
 全列車 82 97  
 このように全列車の54%が特急列車となっている。
 
 金沢駅の駅構造は島式ホーム3面7線で、北陸本線のほか七尾線の列車も発着する。

 島式3面のホーム 左から1番~7番のりばとなるが、4番のりばは3番・5番のりばホームの富山方向の端を切り欠いた形になっている(写真の中央左寄りに車止めの標識が見える)。こののりばには通常、七尾線の羽咋・和倉温泉方面の普通列車が発着するが、富山方面からの北陸本線の一部の列車も発着する。

 富山方向の線路。ここからではよく見えないが、金沢総合車両所や貨物駅への分岐線など複雑な配線となっているらしい。

 米原方向の線路。当駅折り返しの列車が留置される折り返し線がある。大阪に向かう「サンダーバード」(左)と待機する「はくたか」。写真左に見えるコンクリート壁の向こうに北陸新幹線の線路と駅を建設中。2014年度開業予定だが、その後の特急列車たちの動向が気になるところ。
 出入りする列車たち 
 特急はくたか 
 金沢(1本は福井)と越後湯沢を結び、上越新幹線と連携して首都圏への最短ルートを実現する。径路は金沢-(北陸本線)-直江津-(信越本線)-犀潟-(北越急行ほくほく線)-六日町-(上越線)-越後湯沢で、特筆すべきはほくほく線内で最高速度160km/hで走ることである。新幹線以外で160km/h運転は京成電鉄の成田スカイアクセス線の特急スカイライナーでも行われている。ほくほく線はJR上越線の六日町駅と信越本線の犀潟(さいがた)を結ぶ59.5kmの私鉄である。上越新幹線から北陸方面の日本海岸までを一気に短絡する路線として建設された。そのため、長大トンネルと直線区間が多い。赤倉トンネル(10472m)および鍋立山トンネル(9132m)は私鉄として第1位、第2位の長大トンネルである。そのほかを合わせると全線の60%以上がトンネルとなっている。

「はくたか」はJR線内は最高速度130km/h、北越急行線内では160km/hで運転されるが、金沢-越後湯沢間の所要時間は2時間40分。上越新幹線に乗りついで東京までは約4時間と現在のところ最短時間のルートである。
実際に乗ってみて、ほくほく線にはいると路盤が急にしっかりするのを感じる。そしてやはり非常に速い。トンネルにはいると気圧の変化を感じるが、新幹線よりもちょっと強めか。単線のためトンネルの断面積が小さいせいかもしれない。トンネル区間での携帯電話は通じない旨乗務員から断りがある。それにしてもトンネルの長さと多さは半端ではない。
「はくたか」には北越急行とJR西日本の681・683系の車両があてられるが、いずれもほくほく線に多い長大トンネルを高速で通過する際の車内の気圧変化に対応するため、気密性を確保した造りになっている。編成は北越急行、JRそれぞれの車両だけのほか、両社の車両の混成もある。
北越急行の681・683系車両は SRE(スノーラビットエクスプレス)の愛称がつけられている。

 「はくたか17号」 北越急行車両だけの編成。先頭車は683系8000番台。

 最後尾車 681系2000番台
 JR西日本の「はくたか」専用681系0番台には「ホワイトウィング」のエンブレムがつく。
気密構造のほか160km/h運転に対応したブレーキシステムを装備する。車両の所属は金沢総合車両所。

 金沢駅6番のりばに入線する「はくたか19号」 先頭車はJR西日本681系0番台

 JR車(左)と北越車の混合編成。JR車は越後湯沢方3両の681系0番台。北越車は後寄り6両の681系2000番台。
 特急サンダーバード 
 
 特急サンダーバードは大阪から湖西線経由で金沢・富山・和倉温泉・魚津の各方面を結ぶ。運転本数は23往復と格段に多い。
全列車が吹田総合車両所京都支所もしくは金沢総合車両所に所属する681系電車と683系電車で運転されている。
  ほかの特急の名称が和名なのに「サンダーバード」というのはちょっと違和感がある。特急「雷鳥」の後継なので、雷→Thunder、鳥→Birdすなわち「サンダーバード」の安易な当て字と思っていたが、これは誤解らしい。JR西日本の公式説明では、サンダーバード (Thunder bird) は、アメリカ先住民族のスー族に伝わる神話に登場する雷光と雨を起こす巨大なワシに似た空想上の鳥であり、これに由来して命名されたものという。「雷鳥」では速いイメージがない。雷鳥由来を残しつつ速いイメージの「サンダーバード」の語にこだわったということか。

 7番のりばに入線する「サンダーバード17号」富山行き 先頭車は681系
 特急しらさぎ 
 「特急しらさぎ」は名古屋から米原経由で金沢・富山・和倉温泉までを結ぶ。米原-金沢の区間運転もある。
運転本数は名古屋駅 - 富山駅間で7往復、名古屋駅 - 和倉温泉駅間で1往復、米原駅 - 金沢駅間で8往復の計16往復。
使用される車両は専用の683系で車体側面に青とオレンジの帯が引かれている。

入線する富山行き「しらさぎ7号」 683系2000番台。この日は10分遅延したが、本来の7番のりばには後発の「サンダーバード19号」和倉温泉行きがすでに到着していたため6番のりばにはいった。「しらさぎ7号」発車後に「サンダーバード19号」も遅延して発車した。まるで通勤列車のように頻繁に特急列車が往来するのを目の当たりにしたが、たしかに「特急街道」だ。
 特急北越 

 新潟駅と金沢駅を結ぶ特急列車である。5往復が運転されている。車両はJR東日本の485系が使われる。

 普通列車 

 (左)七尾線の七尾行き415系と(右)富山行き475系電車 いずれも金沢駅折り返し。

 当駅折り返しの富山行き413系電車。 かなりの古参電車ががんばっている。

 入線する当駅折り返し大聖寺行き521系電車
 
 北陸鉄道浅野川線 
 北陸鉄道浅野川線の北鉄金沢駅はJR金沢駅からすぐ近くの地下にある。もともとは北鉄金沢駅として地上駅だったが、平成13年に地下化された。浅野川線は金沢から海に向かって北上し内灘駅までの6.8kmの路線。

 改札口からすぐ1面2線の頭端式ホームがある。内灘行き電車が待機する。

 留置されている8000系(もと京王井の頭線の3000系)2両編成。 地下部分はごく短く、ホームを出外れるとすぐ地上に出るようだ。
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