伊勢神宮    2011.11.13
 高野山・吉野山と熊野三山につづく霊場めぐりの第三弾は伊勢神宮となった。
日本の起源に関わる神様を祀るこの神宮に詣でることは、江戸時代から”お伊勢参り”として綿々と続いている。お伊勢参りは日本人にとって一生に一度の大きな願いであり、楽しみだったのだろう。それは主祭神が皇室の祖神であり、日本の神々の頂点に君臨する「天照大神(あまてらすおおみかみ)」であることから特別に大きなご利益を期待してのことと考えられる。

その伊勢神宮はいまパワースポットという新たな位置づけがされて、より一層のにぎわいをみせている。パワースポットとはいまふうの呼び方だが、要するに霊場のことである。霊場はそこに行くと目に見えない神秘的な力が宿っていて、いろいろな影響を及ぼすといわれる、あるいは信じられているところである。このため、多くは神社仏閣など宗教的な土地や建造物が主体となっているほか、原始宗教のような場合はいわゆるご神体としての特定の山体や滝、岩石、樹木などの自然物が霊力(パワー)を発するとされている。昔から社寺に参拝するのは、そこに行くことで無病息災・家内安全・商売繁盛・学業成就・結縁成就などいろいろな願いが叶うという、いわゆる現世利益を求めるためである。神仏に祈ることで願いを叶えてくれることを期待するのだが、最近はより強力なパワーを求めて各地の霊場は大人気である。

伊勢神宮とは皇大神宮(こうたいじんぐう)と豊受大神宮(とようけだいじんぐう)という2か所の神宮を合わせた総称で、正式には「神宮」と称される。皇大神宮は皇室の祖神である天照大神を祀り2000年の歴史をもつ。豊受大神宮は天照大神の食事を司る神であるとともに、衣食住をはじめあらゆる産業の守り神である豊受大神を祀っている。前者を内宮(ないくう)、後者を外宮(げくう)と呼び、通常は外宮から内宮の順に参拝するものとされるが、両宮の間はバスで15分ほどの距離がある。

外宮も内宮も社殿は古代の建築様式で建てられているためにほかの神社にくらべて非常に質素なたたずまいである。全体は大きな森に包まれているが、平地のために山の中にある霊場の厳しさとは違ってやさしい趣がある。それが昔からの庶民の人気の秘密だろう。

外宮 表参宮火除橋と第一鳥居

外宮 豊受大神宮の御正殿(ごしょうでん) 豊受大神を祀る社
別宮 風宮(かぜのみや)
元寇を追い払った神風を起こしたとされる。
このような別宮が内宮・外宮あわせて14所ある。

伊勢神宮内宮(皇大神宮)の正面 宇治橋鳥居と宇治橋

神宮を囲むように五十鈴川が流れる (宇治橋から川下を望む)
五十鈴川御手洗場(いすずがわみたらし)
参拝する前に五十鈴川の清流で手を清める。

内宮 御正宮(ごしょうぐう) 天照大神を祀る神殿はこの後ろに四重の垣根に囲まれていてうかがい知ることはできない。 参拝を待つ人波。
茅葺屋根は苔むしているが、20年ごとに建て替える式年遷宮によって、2013年には隣の敷地(新御敷地;しんみしきち)に内宮・外宮ともに正殿が新しく建て替えられることになっている。20年ごとに建て替えるのは社殿が茅葺屋根のほか、塗装していない素木を地面に埋めただけの柱で建てられていることから耐用年数が短いためという。
神楽殿
祈祷のお神楽を行う社殿。
いくつかある鳥居は建て替えられた古い正殿の柱をリサイクルしているという。塗装されずに素木のままというのが特徴。
にぎわう参道「おはらい町通り」。両側に多くの飲食店や土産物店などが軒を連ねる。
三重県下で最大の地銀である「百五銀行」内宮前支店。レトロな店構えが目を引く。
こちらは五十鈴川郵便局
おかげ横丁は、「お蔭参り」と称して伊勢参りでにぎわった江戸時代末期から明治初期にかけての門前町の町並みを再現したもの。飲食店や芝居小屋などがある。
   
日本屈指のパワースポットとして非常に楽しみにして出かけた。しかし、日曜日とあって内宮御正宮の前には大行列!人気のほどは知れるが厳粛な雰囲気は感じられない。もっとおごそかな深い森の中にたたずむ社殿をイメージしていたのだが、ちょっと期待はずれだった。あとで聞いたところでは、早朝のひとけのないときはしんとした清浄な空気が漲っていて感銘を受けるそうだ。いずれ再訪せねば。。。
伊勢・鳥羽・志摩巡り