蘊蓄・鉄道コラム
東急1000系の再生

2013年3月の東横線・東京メトロ副都心線直通運転開始により、それまでの東横線と東京メトロ日比谷線との相互直通運転は廃止となった。そのために、7編成56両の東急1000系電車が一挙に余剰となり、一部の車両が総合車両製作所の構内に芋づる式につながれた状態で留置されていたことは、拙著
「J-TRECに1000系の末路を見た」
(2013.05.07)にて述べた。その後、1000系の行く末がいろいろ取りざたされていたが、今年(2014)になって池上線・多摩川線用に3両編成化の改造を受けて、1000系1500番台として3編成が登場し、5月に営業運用を開始した。このいきさつは、甲種輸送や、試運転の様子がYouTubeなどに投稿されたので知ることとなった。

改造は8両編成のうち、前後の制御車(クハ1000形・クハ1100形)と中間電動車1両(デハ1200形)を抜き出してクハ1000形を電動車化することで、デハ1500形+デハ1600形+クハ1700形の2M1T編成としている。
今回改造を受けた編成は、1001F・1003F・1004Fの3編成であり、改造前と改造後の編成番号および車両番号の対比は以下の通りとなる。
・1001F(クハ1001+デハ1201+クハ1101)
→1501F(デハ1501+デハ1601+クハ1701)
・1003F(クハ1003+デハ1203+クハ1103)
→1503F(デハ1503+デハ1603+クハ1703)
・1004F(クハ1004+デハ1204+クハ1104)
→1504F(デハ1504+デハ1604+クハ1704)
これは7700・7600系の置き換えを目的としたものであるので、さらに改造が進むと考えられるが、具体的な計画は不詳である。

いずれにしても、1000系の消息がわかり、同じ東急線内で引き続き活躍できることになったのは喜ばしいことだ。
現在、3編成すべてが運用されていて、ときどき見かけはするものの、なかなか撮影のチャンスがなかったが、やっと雪が谷検車区にいた1編成の撮影をしてきた。あとの2編成は運用中か長津田にいるのだろう。編成は1504Fだが、外観は帯の色が赤から緑系に変わったのと、先頭車の正面の車番の位置が上部に移動したほかはあまり変わっていないようだ。車内も変化があったそうだが、実際に乗っていないので未確認だ。


雪が谷検車区にて。後方に1000系と7700系が留置されているが、1500系はコーポレートカラーである赤色を封印した。
帯の色が7000系で使われている濃緑色・金色・淡緑色の3層になり、池多摩線のラインカラーとして定着しつつある。この帯色はJR横浜線と似ているようだが、横浜線は淡緑色が幅広く、濃緑色は狭い。
2014.07.06
鉄道総合ページ:鉄道少年のなれの果て