ITの将来はどうなるか

これまでの40年間、IT(情報技術)の進歩はめざましく、社会全体のあらゆる活動にさまざ まな変革をもたらしてきた。情報があらゆる活動のもとになることはこれからも変わりはなく、ITがますます重要な役割を果たすことも変わりはない。

インフラ系
技術の進歩はあるが、内容的には過去10年くらいにあったような画期的な新技術はいまのところない。基本的な技術の米国優位は続き、日本は後追い。

インターネットビジネス
インターネット人口は日本では2人にひとりの割合で使っているが、世界的には地球人口の1割にすぎない。今後インターネット人口の増加は当然考えられる。そこで問題になるのはIPアドレスの数である。いまのIPアドレスは1983年に決められたIPv4(IP version4)規格によるもので、43億個分しか使えない。このままでは近い将来IPアドレスが枯渇することは考えられる。この問題を解決するために日本を中心にIPv6(IP Version6)が定められて実用段階にはいっている。IPv6では43億の4乗→3.4×1038個という、ほとんど無限に近い数のIPアドレスが使えるようになる。
ユーザーの増加によって通信路の容量も逼迫してくるが、ブロードバンド化は着実に進んでいる。

このようにインフラの進歩によって新しい分野が開ける可能性はある。一方で沈むところもある。予想のつかないのがこの世界である。
とくに移り気な一般大衆相手のビジネスでは浮き沈みが激しく、いかに長期間にわたってビジネスを続けてゆくか、生き残りの競争は激化する。

ベンダー
ユーザーの情報投資は継続的に行われるものの、費用対効果に関してはきびしく評価する傾向にあるのでベンダー側はより価格引き下げ攻勢を受け、競争激化で利益率が低下する流れは変わらない。物販は薄利多売にならざるを得ない。したがって、開発、保守、運用などにおけるサービスを充実させて、息長くユーザー企業とつきあってゆくなかで収益性を改善してゆく必要がある。

システム開発
・人手による労働集約構造は変わらない。
・ユーザー側からの価格引下げ攻勢は続く。
という環境の中で、
・いかに質の高い人材を早期に増やすか。
・下請け構造などの環境がどこまで改善されるか。
・下流工程のコスト・パフォーマンスの改善のために外国勢をどう使ってゆくか。
といった課題の解決をしていかねばならない。

テクノロジーの進歩と社会