東京秋葉原と、つくば研究学園都市とを結ぶ鉄道「つくばエクスプレス」が2005年8月24日に開業した。 乗り入れや部分延伸以外の新線の開業は首都圏では都営地下鉄大江戸線以来4年半ぶりという。また部分開業せず全線を一気に開業したのも特徴的である。 |
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この鉄道はもともと1985年に常磐新線として旧国鉄(JR)を含む第3セクターで建設する計画が持ちあがり、その後採算性を理由にJRは手を引いたが、1991年に東京、千葉、埼玉、茨城の4都県など沿線の16自治体が出資する「首都圏新都市鉄道株式会社」を設立して建設することになったものである。1993年に着工以来、12年の歳月と建設費8400億円が投じられた。 つくばエクスプレス(TX)は総延長58.3Kmで、IT産業の拠点として再開発を進めている秋葉原と、先端科学技術研究の拠点である、つくば研究学園都市を北東方向にほぼ一直線に結ぶ。この鉄道に沿って新しい町づくりをしてゆこうというのが狙いである。これは1989年に施行された、鉄道建設と周辺の宅地開発を同時に進める、通称「宅鉄法」(一体化法)に沿ったもので、つくばエクスプレスはその適用第一号という。この法律は鉄道建設にあたって、土地区画整理事業という手法をとりいれ、用地確保を円滑におこなうことができるのが特色である。これにより、鉄道が整備されて沿線の町づくりも促進するという相乗効果を期待できる。そのため、つくばエクスプレスに対する関連自治体の支援はきわめて大きいといわれる。巨額の建設費の大半は国と自治体からの無利子貸付けで賄われ、資本金1850億円の90%は沿線16自治体が出資しているが、これはJR東日本の資本金2000億円に匹敵する規模で、異常といえるほどの大きさである。 しかし、報道によると、利用乗客数の見通しは下方修正が続いていて採算性の不安要素はあるという。鉄道は乗客数が増えなければ成り立たないことは自明の理であって、多くのローカル鉄道の廃止がそれを証明している。つくばエクスプレスが地元の大きな期待に応えられるかどうかは、建設に大きな負担をしている地元自治体自身の今後の努力にかかっている。 余談だが、鉄道を建設しながら周辺を開発し、乗客を確保してゆくやりかたは、大正時代から行われており、その代表的な例が阪急電鉄であり、東急電鉄である。当時は用地確保もいまより容易だったとはいえ、一私企業が鉄道を中核に周辺を積極的に開発してゆく手法を編み出したことはまことに先見の明があったといえる。 |
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つくば行脚 |
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鉄道総合ページ:「鉄道少年のなれの果て」 |