東急9000系-東横線を引退 2013.03.01
多摩川橋梁を渡る9000系電車  2004.05.08
2013年3月16日の東横線と副都心線の直通運転開始に伴い、前日の3月15日をもって東急9000系電車が東横線から姿を消すことになった。ここ数年、5050系が増えるにつれて9000系の姿が少なくなり、急速に世代交代が進むのを目の当たりにしてきた。9000系の副都心直通はないということがだんだんわかってきたが、それでも副都心線内まではいかずとも、せめて折り返し運転で新装なった渋谷駅に現われるのではないか、いや現われて欲しいと期待していたのだがそれも泡と消えた。

9000系は8000系に始まった、前面が真っ平らな切妻スタイルの最後の系列で、ステンレス車体に赤帯をまいた、いわゆる東急形電車の典型である。これをもとに1000系と2000系が派生した。1986年に第一編成が登場して以来、1991年までに8両14編成および5両1編成の117両が製造された。5両編成は大井町線に、8両編成は東横線に投入されたが、その後2009年から徐々に5連化されて大井町線に転属する編成が続き、いまや東横線に残ったのは5編成だけとなった。

9000系は軽量ステンレス構造、VVVFインバータ制御、ボルスタレス式台車など東急の最新鋭の技術を盛り込んだ意欲的な車両である。ビードタイプ軽量オールステンレスの車体はすっきりしていて完成度の高いスタイルだ。側面の窓下にまいた東急電鉄のコーポレートカラーの2本の赤帯も外観を引き締めている。ビードの間を利用した、上が広く下が狭い赤帯はデザイン上すぐれていると思う。ところで、側面の帯は扉には施されていない。理由は不明だが東急では8090/8590系以来ずっと踏襲している。JR東日本もE231系までは同様だったがE233系になって扉にも帯を施すようになった。個人的には帯なし扉のほうがアクセントがついて好きだ。もっとも新7000系では側面は帯ではなく緑色系のデザインとなって扉にもラッピングが施されているが、これは仕方がないだろう。

登場以来25年を過ぎた9000系だが、そんなに古さを感じさせない。まだまだ現役として通用する。池上・多摩川線では、すでに車体が50年を超えた7700/7600系が活躍している。それほどステンレス車体は長持ちするのだ。しかし車体以外の部分は消耗し、修理や交換を必要とする。その保守にかかるコストは年々大きくなり、全体の陳腐化とともに、新しい車両を導入したほうが得策ということになる。一方、時代の流れは常に新しいものを要求し、新しい技術を生み出す。電車もそれに対応したモデルチェンジをしてゆかねばならない。JRを始め大手私鉄ではこのところ、新型車両がぞくぞく登場して世代交代が進んでいる。9000系も例外ではなく、5050系への置き換えが急ピッチで進んでいるのである。引退する5編成は今後どうなるのかわからないが、8両編成のため5両化されて大井町線に転属するのか、またはどこかの地方鉄道に譲渡されるのか、どちらかだろう。まだ性能も外観も良いので導入したいところはあるだろう。

ともあれ、東横線から1000系、東京メトロ03系と同時に9000系の姿が消える。子供のころから地元に住み、東急電車の変遷をずっと見てきたが今回のようなドラスティックな変貌はちょっと驚きである。やはり一抹の寂しさを覚える。入れ代りに、メトロ7000系と10000系、西武6050系および東武の50070系と9050系といった5タイプの電車が登場するというのもまた目黒線のとき以来の"事件"であるが、こちらは楽しみだ。

 9000系オンパレード
9000系引退と聞いてあわてて撮りにいったものと、これまでに撮りためた東横線を走る9000系の姿を、ここにいささかくどいと思われるくらい並べてみます。9000系をこよなく愛するファンのために。。。
編成番号順に配属年月日、転属年月を併記。
9001F
1986年3月8日配属

自由が丘-田園調布  2013.01.24
9002F
1987年11月25日配属
2009年4月大井町線転属

みなとみらい線直通前日すべての列車は横浜止りとなった。 都立大学  2004.01.31
9003F
1987年12月20日配属
2010年6月大井町線転属

横浜行き 自由が丘-田園調布  2004.01.31

元住吉駅 目黒線工事中 2006.09.29

武蔵小杉駅 2006.09.29  
9004F
1988年1月24日配属
2010年7月大井町線転属

田園調布-自由が丘  2004.01.31   

多摩川橋梁  2005.02.14
9005F
1988年2月20日配属

武蔵小杉-新丸子  2001.06.03

祐天寺駅  2005.02.04

都立大学-自由が丘  2012.10.21
9006F
1988年3月2日配属
2010年8月大井町線転属

元住吉駅を通過するTOQ-BOX装飾編成  左後方は目黒線電車 この区間では並走シーンがよくみられる。 2008.06.27   
9007F
1988年3月9日大井町線配属

当初から大井町線に配置された5両編成  溝の口駅  2009.07.11
大井町線の溝の口延伸で田園都市線の電車との誤乗を防ぐため、前面の赤帯がオレンジ色のグラデーション仕様となり、大井町線のステッカーが貼られるようになった。
9008F
1988年8月27日配属
2011年1月大井町線転属

多摩川橋梁  2005.09.19  

自由が丘-都立大学  2010.01.30
9009F
1988年9月2日配属
2009年5月大井町線転属

旧横浜駅に進入する  2004.01.25   

元住吉駅の急行線を通過する  2006.09.29     
9010F
1988年10月19日配属

自由が丘-田園調布  2001.07.29

自由が丘-田園調布  2004.01.31

多摩川橋梁  2005.07.15

自由が丘-田園調布  2013.01.24
9011F
1988年10月25日配属
2011年10月大井町線転属

武蔵小杉駅  2001.06.04  
9012F
1988年11月22日配属

都立大学-自由が丘  2013.01.08

妙蓮寺駅  2013.01.09
9013F
1989年3月31日配属
2012年3月大井町線転属

シャボン玉装飾編成 多摩川橋梁 2005.04.03  

自由が丘-都立大学  2006.07.06
9014F
1989年9月30日配属

自由が丘-都立大学  2006.07.06

元住吉検車区  2011.09.09

田園調布-自由が丘  2013.01.24
9015F
1991年3月26日配属
2012年9月大井町線転属

廃止間近の桜木町駅にて 2004.01.25
元住吉駅  2006.09.29  

田園調布-自由が丘  2008.01.13
関連ページ: 鉄道総合ページ「鉄道少年のなれの果て」
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