大相撲ファンの嘆き


春場所で新横綱稀勢の里が奇跡の2連勝の末に新横綱連続優勝を成し遂げたことで、大相撲の人気はいやがうえにも上昇中だが、困ったことも起きている。夏場所の前売りチケットが販売後1時間半で完売したというのだ。なぜそんなに早く売り切れるかというと、インターネット経由の販売だからだ。一方で、雨の中を早朝から国技館の窓口に並んだ200人余りの人たちは買えずじまいだったのだ。多くは年配者だったという。窓口販売は正午に開始で、インターネットでの発売開始は午前10時からだったらしいが、11時半には売り切れたということになる。これにより窓口販売はできなかったのである。相撲協会事業部の某親方は「逆転優勝で反響も大きくファンの方の期待の表れ。ありがたいことです」(日刊スポーツ)などと喜んでいるのだが、窓口に並んだ人たちにどのように説明したのか新聞記者は取材しなかったのか?チケットを買えなかった人の恨み節は記事になっているのだが。
このような瞬時にチケットが売り切れる現象は、コンサートやスポーツなどの興行でも起きているが、多くはインターネットだけでの販売なのでそれほどの問題にはならない。大相撲の場合、窓口でもインターネットでも販売するのは確かに公平のように見える。しかし、今回は誠に不公平な結果になってしまった。せめて発売開始時間を逆にすべきだったかもしれない。そもそも、わざわざ両国の国技館に買いに行くのはおそらく熱心な相撲ファンだろう。このような人たちを優先にすることはごく自然なことだ。自宅でボタンを押して簡単にチケットを手に入れる人のなかには、転売目的で相撲には興味がない者も大勢いるに違いない。
ラクしていい目を見ようというのは誰しも考えることだが、今回のようにインターネットという圧倒的な道具を使う人がそうでない人を排除したということで、これこそ差別だろう。相撲協会はこんな事態になることを予想できなかったのかもしれない。連日の満員御礼の裏側で悔しがっている熱烈な相撲ファンがいることに気づいて、一刻も早く適切な対策を打ってほしい。
(2017.04.12)
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